早い者勝ちルール
2017年2月22日 CATEGORY - 代表ブログ
皆さん、こんにちは。
ピコ太郎の「PPAP」や「ペンパイナッポーアッポーペン」の商標登録が彼や彼が所属するレコード会社とは無関係の会社に先に申請されてしまったことによって、混乱が生じているというニュースで、商標についての関心がにわかに高まりました。
日本の現行のルールでは、商標権は登録主義をとっており、基本的に「早い者勝ち」ということのようです。
ただし、その要件として、「その商標を使用していること」が必要になるので、実際に使用している側が無効審判の請求をしてそのことを立証すれば、取り消しが可能となります。
ですが、その手続きにはそれなりの時間がかかります。
このことが、実際に使用している人の商標をその人よりも先に申請を出して、その人に対してその商標の使用料や権利の買取りを要求するという「トロールビジネス」と呼ばれる行為のモチベーションとなります。
つまり、時間を金で買わないかという交渉の余地ができてしまうのです。
これについては、その商標の使用している人が、正面から戦うのかそれともお金で解決するのかという覚悟と考え方の問題となると思います。
それよりも問題なのは、先に登録した相手も実際にその商標を使用している事実がある場合です。
この場合は、もはや「トロールビジネス」とは無関係のれっきとした商標管理の問題ということになりますので、基本的には早い者勝ちルールが適用されてしまいます。
例外的に自分のほうが相手が登録するよりも先に使用していて、しかもそれが広く知られていたことを立証するということで自分も使用を認められるという「先使用による通常使用権」というものがありますが、非常にハードルが高く、仮にその権利が認められても独占使用にはなりません。
ですから、「商標登録」という概念は、商標を作り、使用する者が最低限負担すべき当然のコストと考えるべきかと思います。
実際に、私たちの「合宿制語学学校ランゲッジ・ヴィレッジ」についても、2017年6月21日で登録から10年で更新を迎えますが、この更新のタイミングについても非常に気を使って対処しています。
今回のことで、赤の他人による商標出願を防ぐ方法の検討をすべきだという意見も多く出されて様ですが、私としては「商標」の価値について、それを使用する者がどれだけその価値を理解しているのかということだと思いますので、よほど悪質なケースは別にしても、基本的にはこの「早い者勝ち」ルールを崩す必要性はないように感じます。