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最高の勉強法

2025年4月22日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

「入学試験」「資格試験」「入社試験」等々、私たちの人生において決定的に大きな影響を及ぼすライフイベントの成否を司るツールである「記憶」について私たちは一般的にほとんど体系的・科学的に理解することをしてこなかったように感じています。

これほど重要なツールであるにもかかわらず、これは本当に不思議なことのように思えます。

ですが実際には、、我々人類は結構古い時期(100年以上前)から科学的に「記憶」を研究対象として取り上げてきており、科学的とまでは言えなくとも、太古の昔から、体系的(メタ認知的)に「記憶」に関する知見をつみあげてきたようです。

このように、今まで世間の耳目に触れてこなかった科学的根拠に基づく「記憶」の効率的・効果的な運用方法を非常に分かりやすくまとめてくれているのが「最高の勉強法」です。

著者は現役の医師であり、また以下のYOUTUBEチャンネルで「記憶法」「勉強法」についての有用な情報を提供し続けている安川康介氏です。

本書の分かりやすさは次のような本書の構成によるところが大きいと思います。

それは、一般的に効果的だと思われているけれど実はそうではない「記憶法」を明らかにした後で、実際に科学的に効果的だと証明されている「記憶法」を提示する方法をとっていることです。

つまり、私たちが効果的であると誤解して活用する結果生じる膨大な無駄を回避するために、その事実を真っ先に告知することで、それらを最初から私たちの選択肢から排除し、その上で改めて正しい「記憶法」をその根拠とともに示す。

それによって雑音に惑わされることなく、本来採用すべきものを素直に理解することができるというわけです。

それでは、数ある事例の中から前者の事例と後者の事例を一つずつ紹介します。

①一般的に効果的だと思われているけれど実はそうではない記憶法

「再読(繰り返し読むこと)」

コロラド大学の学生たちを対象として研究で、約1500~1700語の文章を再読するグループと、再読しないグループに分け、内容をできるだけ思い出してもらう試験を二日後に受けてもらった。文章を続けて二回読んだ学生と、一回読んだ学生では、二日後の成績に有意な差が認められなかった。また、別の研究でも、教科書や科学雑誌からの異なる文章を再読するグループと、一回だけ読むグループに分けて,多選択肢法や担当形式などの問題を大学生たちに解いてもらった。その結果、直後、そして一日後の試験での正答率は再読した学生と一回だけ読んだ学生の間でほとんどの場合に有意な差がなく、再読に大きな学習効果がないことを裏付ける結果となった。

著者が付け加えるのは、再読は書かれた内容をとても短期的に覚えるためには効果があるという複数の研究報告があるということ。

「効果がありそう」だと思われているのに、実際にはないというこの方法の存在は、日本人に限らず世界中の人々が「一夜漬け」のような勉強習慣を持ちがちであることの証明にもなっているように私は思いました。

実際のテストもそうですが、短期的に記憶することの意味は「定期試験」などのお茶を濁すことくらいしかないのに対して、本当に必要なテストはあくまでも入試などの「本番」であり、当然ですがそこでは長期記憶が問われることを考えれば、このような習慣は単なる惰性の産物にすぎないと認識するべきだと思います。

②実際に科学的に効果的だと証明されている記憶法

「分散学習」

一夜漬けのようにあるまとまった学習範囲を間隔をあけずに一度に続けて勉強することを「集中学習」と呼ぶのに対して、同じ時間をかけるとしても時間をあけて勉強することを「分散学習」と呼ぶ。そして、後者のほうが長期的な記憶の定着がよくこの効果を「分散効果」という。この効果を実験的に示したのがドイツの心理学者エビングハウスだ。彼は、意味のない音節をたくさん作って、自らそれらを覚え、どれくらい忘れていくのか、そして繰り返し復習したらどれくらい覚えていられるのかについて調べ、最終的に「多くの繰り返しを行う際には、それらを一度にまとめて行うよりも、時間を分散させて行うほうが明らかに有利である」と結論付けた。

(ちなみに、有名な「エビングハウスの忘却曲線」は短期記憶に関するもので、あくまで本書で議論しているのは長期記憶に関することです。)

これら比較的新しい知見以外にも、

「学びて時にこれを習う亦説ばしからずや(学んで適当な時期におさらいする。これは心うれしいことだね)」

と孔子が論語で言っているように、人類はこの「分散効果」に2500年以上前にはすでに気づいていた可能性があります。

しかしながらこの「分散学習」も、実際には現代人のわずか17%にしか活用されていないと言うのです。

本当にもったいないものだと思うとともに、だからこそ著者の活動は非常に貴重なものだとあたらめて感じ、私もこれからは本書で取り上げられている「記憶法」を積極的に取り入れていこうと思っています。

 

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