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最高の教訓

2026年9月13日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

今までこのブログでは様々な「経営」に関する本をご紹介してきましたが、そのどれもが当然と言えば当然ですが、いかにビジネスで成功するか、もしくはその著者がいかに成功したかというプラスの教訓として書かれたものでした。

しかし、本来「教訓」というのは、最も避けるべきものをどうやって避けるかという視点にこそその存在意義があるとも考えられるのではないか、そのような視点で世の中を見回しても、「マイナス」の結果を赤裸々に分析したものは、「プラス」の視点のものと比べるとその数は圧倒的に少ないです。

だからこそ、太平洋戦争における日本軍の失敗を徹底的に分析した「失敗の本質シリーズ」が名著とされるのも頷けます。

その意味で、経営におけるもっとも避けるべき「倒産」というマイナス事象を徹底的に取り上げた本書「最高の教訓 倒産」は、文字通り「最高の教訓」となるであろうと思い、読んで見ることにしました。

本書は、「理論と実務の架け橋」を信条とする財務コンサルティングのプロである著者が、倒産の裏側にある複雑な構造を、会計的な視点、ファイナンス的な視点を中心に実例をを取り扱いながら多角的に読み解いたものです。

とは言っても、私にとって本書を読む中で受けた最も大きなショックは、かつて公認会計士を目指して会計をそれなりに学んだことや、現在進行形で経営者を生業にしているにもかかわらず、この「倒産」という言葉について全然体系的理解をしていなかったという事実に今更ながら気づかされたことでした。

というわけで、今回は「倒産」に関する基礎的な知識をまとめることで自身の経営者としてのアップグレードを図りたいと思います。

そもそも、「倒産」という言葉は法律用語ではありません。このように法律による定義が存在しないこの言葉を、「企業が行き詰まり、弁済しなければならない債務が弁済できなくなった状態を指す(帝国データバンク)」や「企業が債務の支払い不能に陥ったり、経済活動を続けることが困難になった状態を指す(東京商工リサーチ)」というように、特定のリサーチ企業が独自にざっくりとした概念を言葉にしているものを、私たちはそれをさらにざっくりとしたイメージで捉えているに過ぎません。

ちなみに、ここで言っている「弁済すべき債務」とは、

・銀行からの借り入れに関する元利金の支払い

・従業員への給与支払い

・取引先への支払い

・公租公課(法人税・消費税・社会保険料など)の支払い

などを指しています。

これらが生じると、次にあげる6種類のその後の対応によってどのように処理されるのかが決まるのですが、この6つのいずれかが生じた場合に、「倒産」という言葉を当てはめているというのが正確な理解になるようです。

この観点からは「私的整理型」の倒産と「法的整理型」の倒産に分けられます。

1.銀行取引停止処分を受ける

2.私的整理する(代表が倒産を認めた時)

3.裁判所に会社更生手続き開始を申請する

4.裁判所に民事更生手続き開始を申請する

5.裁判所に破産手続き開始を申請する

6.裁判所に特別清算開始を申請する

この赤字で書かれた3.以降を「法的整理」と言い、法律にのっとって裁判所を通じて倒産の手続きを行うというものです。これは、透明性や公平性が担保される一方で、裁判所の関与がある分、手続きに柔軟性がなく時間もかかることになります。

一方で、「私的整理」とは、裁判所へは行かず、個別に貸し手である金融機関や利害関係者と相談して、返済スケジュールなどを調整してもらったり、債権放棄をしてもらう交渉を行うものです。こちらは迅速な対応が可能で、事業の継続性を重視できるものの、関係者全員の合意形成が必要となるため、交渉が難航することがあります。つまり、多数決で決めることができず、最終的に全員の了承が得られない場合には、法的整理に移行せざるを得ません。

また、私的整理と法的整理とは別の観点から、「清算型」の倒産と「再建型」の倒産に分けられます。

つまり、私的整理するにしても法的整理をするにしても、事業を続けられるかどうかの判断がなされることになるのです。

「清算型」の倒産は、事業を完全に終了し、資産を売却するなどして得た現金等を債権者に分配する方法です。経営不振が長期化し、事業の再建が困難だと判断されれば、企業を清算し、残存資産を債権者に分配するほうが合理的だからです。

ただし、法的の場合には「破産(破産法)」か「特別清算(会社法)」のいずれかの方法がとられますが、前者はすべての法人に適用可能で、裁判所が選ぶ破砕管財人によって厳しく厳密に調査がなされるため回収に時間がかかりがちです。一方、後者は株式会社のみに適用可能で、総債権額の3分の2以上の同意があれば会社が選ぶ清算人(元の経営陣など)によって比較的柔軟に調査がなされ、迅速な回収が期待されるものです。

「再建型」の倒産は、債務を減額し、事業の継続を図ることを目的とする方法です。負債を一部免除してでも事業を継続させたほうが回収の可能性が高まると判断されれば、再建型が選ばれることになります。

ただし、法的の場合には「民事再生法」か「会社更生法」のいずれかの法律に基づいて行われます。前者は中小企業から大企業まで幅広い企業および個人に適用され、議決権を持つ債権金額および議決権を行使した債権者の過半数の賛成によって現経営陣による再生が認められます。また株主の権利も維持され、6ヶ月という比較的短期間で実行可能ですが、債権者の担保権実行を個別に止められず財産の流出の可能性があります。一方、後者は主に大規模な株式会社に適用され、現経営陣は更生管財人に交代させられます。また株主の権利も100%減資などで失われるのが一般的で、数年単位の長期にわたることもありますが、担保権の実行が全面的に禁止されるため事業資産を確実に守りながら実行できます。

このように「私的整理型」か「法的整理型」、そしてそれぞれに「清算型」か「再建型」。また法的整理には清算型にも破産・特別清算か、再建型にも民事再生・会社更生かの組み合わせで都合6種類の倒産の形があるということです。

具体例はこんな感じです。

1.「私的整理」×「清算型」=制度の性質上、完全に非公開の任意交渉で終わるケースが多いため、実名が残らない。(途中から法的整理に移行した場合にのみ実名公表される)。

2.「私的整理」×「再建型」=シャープ・ダイエー

3.「法的整理型」×「清算型(破産)」=てるみくらぶ・船井電機

4.「法的整理型」×「清算型(特別清算)」=三菱航空機・エアアジアジャパン

5.「法的整理型」×「再建型(民事再生)」=そごう・スカイマーク

6.「法的整理型」×「再建型(会社更生)」=NOVA・JAL

私自身の備忘録的とする意味もあって少々冗長的になってしまいましたが、そこはどうぞご容赦ください。

 

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