「潤滑油」か「非効率」か
2023年1月8日 CATEGORY - 代表ブログ
皆さん、こんにちは。
先日(2023年1月4日)の読売新聞朝刊の「編集手帳」に次のような内容が書かれていました。
「職場で同僚の机に前触れもなく近づき、雑談や仕事の相談をする。欧米では最近、これを迷惑だとして『デスク爆弾』と称する奇妙な造語が広がりつつあるとか。話しかける側が配慮を欠いているのか、受ける側に寛容さがないのか。事情は様々だろうが、人付き合いの変化がちょっとした話題になっているらしい。職場での雑談は、コミュニケーションの『潤滑油』とも言われてきた。テレワークが広がる中、同僚との何気ない会話の効用が見直されている。」
この記事を読んで真っ先に思い出したのが、このブログでもかつて(2017年7月10日)ご紹介したホリエモンこと堀江貴文氏が推奨する次のような「行動」でした。
「電話をかけてくる人間は無視。」(電話を掛けるのは、私の都合を全く考えずに時間を泥棒していることになるから)
「メールやラインで退職届を提出」(どうせやめることは決まっているのだから、受け取る側も時間を取られずに済むから)
「大事な会議でスマホをいじる勇気を持つ」(会議には無駄な時間が多く、その時間に何もしないのは非効率すぎるから)
私はこの記事の中で、「これらを当たり前にやるような社会を私は『いい社会』だとは思いません。」と断りながらも、「自分の仕事は終わっているのに上司がいるから帰れない」のを当たり前だと考えるような日本のビジネス社会も決して「いい社会」だと言えないとして、ホリエモンのような逆側に振り切った発想は、この日本のビジネス社会の「バランス」をとる上で有益かもしれないとの考えを示しました。
それから5年ほどがたったわけですが、私たちはその間に「リモート」でビジネスを回すという経験を否応なくすることとなりました。
言ってみれば、ホリエモン的な行動によってバランスをとる「社会実験」を大規模に行うこととなったわけです。
その際に私たちは何を感じたのか。
この「編集手帳」の記事は以下のように続いています。
「日本能率協会が調査したところ、(同僚との何気ない会話が)『プラスだ』と答えた人は80%に上った。テレワークしている人に限れば86%がそう感じていた。職場にはテレワークでは得られない『無形の報酬』があるという。」
コロナ禍において命を守るために仕方なく行った「効率化」を追求しぬく試みによって、「非効率」こそが人間の最も人間らしい部分だったと気づかされたということでしょうか。
それを「非効率」ではなく「豊かさ」と呼べる余裕を人類全体で取り戻したいと思います。