知の巨人逝く
2021年6月28日 CATEGORY - 代表ブログ
皆さん、こんにちは。
先日(2021年6月23日)、ジャーナリストで評論家の立花隆氏が80歳で亡くなられたとの非常に残念なニュースがありました。
彼のプロフィールは次のようなります。
「東京大仏文科卒。文芸春秋社を退社しフリーになった後の1974年、『田中角栄研究 その金脈と人脈』を発表、故田中角栄首相の金権政治の実態を明らかにし、首相退陣、ロッキード事件摘発のきっかけとなった。数多くの資料を駆使した手法でニュージャーナリズムの旗手と呼ばれた。政治をテーマとした執筆活動に加え、科学技術分野の取材、評論も積極的に行い、『脳死』『臨死体験』『脳を究める』などの脳に関する著作や、宇宙など幅広い分野で言論活動を展開した。東大客員教授なども務め、後進を育てる教育活動にも熱心に取り組んだ。2007年に膀胱がんの手術を受けたことを公表、治療を続けながらがんについても多くの著書を発表していた。主な著書に『日本共産党の研究』『宇宙からの帰還』『精神と物質』など。菊池寛賞、司馬遼太郎賞など受賞多数。」
私は立花氏に対して非常に大きな尊敬の念を抱いてきましたが、それには二つの大きな理由があります。
それがこのプロフィールの中にしっかりと抑えられています。
それは、「ペンは剣よりも強し」と「知は専門分野を問わず」の二つを彼が完全に実現されてきたという点です。
「田中角栄研究 その金脈と人脈」では、現役総理大臣でしかも圧倒的な国民的人気を誇っていた田中角栄氏をその徹底した取材と文筆によって退陣に追い込むだけでなく、刑事被告人としてその責任を取らせるに至りました。
これについては、あまりにもくだらないネタに終始しつつ手数だけは多い現在のジャーナリズムと比べてしまうとまさに隔世の感があります。
そして、「政党研究」「宇宙開発」「精神論」といった分野を問わないネタを徹底的に研究することによってその道の専門家に負けないくらいの濃い内容であり、かつ専門家とは異なる切り口の作品を数多く生み出してきました。
最近このブログでご紹介した「思考の技術」もその一つです。
もちろん立花氏とは比べようもありませんが、私がこのブログなどで様々な分野について、できるだけの知識を得た上で記事を書きたいと思っているのは、彼への憧れが強いからです。
また、立花氏は彼のこのような成果を支えているのが、圧倒的な読書量であることを公言していました。
冒頭のたくさんの本に囲まれた彼の写真はそのことを物語っていますし、またその象徴としての彼の個人事務所である「猫ビル」は有名です。
いつか私も自宅とは別にこのような私的図書館を持ってみたいとひそかに願いつつ、氏のご冥福を祈りたいと思います。