「不均衡」こそが組織の薬
2021年10月15日 CATEGORY - 代表ブログ
皆さん、こんにちは。
三回にわたって「失敗の本質」からテーマをいただいて書いてきましたが、今回が最終回です。
最終回のテーマは「不均衡(危機)と組織」です。
弊社の社長つまり私の父ですが、常々言っていることがあります。
それは、「俺は会社がトラブルを抱えている時は心が安定しているけど、順調な時に不安になる。」です。
えっ、表記ミスで逆じゃないの?と思われる方がほとんどだと思うのですが、これで正しく、しかも本人曰く冗談で言っているのではなく本心からだと言います。
今回は、この謎の言葉の真意を解くカギが本書にありましたのでそのことについて書いていきたいと思います。
前回の記事では、日本軍という組織を恐竜に喩えて、「機能的にも形態的にも徹底的に現環境に適応した結果、その形態が特殊化し、ちょっとした環境の変化に対応できなくななったため滅びた」という分析をご紹介しました。
その分析を逆の側面から見れば、組織の存続のためには「ちょっとした変化」が常に起こっているという環境こそが最適だということであり、弊社社長の言葉の真意ではないかという思いに至ったというわけです。
以下に、本書の該当部分を引用します。
「適応力のある組織は、環境を利用して絶えず組織内に変異、緊張、危機感を発生させている。あるいはこの原則を組織は進化するためには、それ自体を絶えず不均衡状態にしておかなければならない、と言ってもよいだろう。不均衡は、組織が環境との間の情報やエネルギーの交換プロセスのパイプをつなげておく、すなわち開放体制(オープンシステム)にしておくための必要条件である。」
この説明を読んでから、上記の社長の言葉を見直すと、実に素直に理解することができるような気がしてきます。
例えば、お客様からの「クレーム」は会社の不備の指摘ですから、それ自体は「良くないこと」ではあります。
しかし、その「クレーム」に前向きに対処し、その後の組織の在り方にフィードバックすれば、その「クレーム」をいただいたことが確実に会社にとっては「ありがたい」ことに変わるわけです。
まさにクレームに限らず、あらゆる問題はすなわち「不備の顕在化」であり、その顕在化した不備を解決を実施するチャンスを得るという意味で、上記の「組織が環境との間の情報やエネルギーの交換プロセスのパイプ」そのものと言えると思います。
私もできる限り早くその心の境地に達することができるように精進したいと思います。