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自律神経の科学

2025年3月1日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

ここのところ、「休養学」、「睡眠の起源」と健康に関係する本を読んでいるのですが、今回はそのシリーズに「自律神経の科学」という本を追加したいと思います。

そのサブタイトルは「『体が整う』とはどういうことか」となっており、サウナが読書に加えて数少ない趣味である私としてはそれにつられての購入でした。

まずは、「自律神経」とは何かを知る前に、本書の内容から神経系そのものについてまとめてみます。

神経系は中枢神経(脳と脊髄)と末梢神経(脳神経:脳から出ているものと脊髄神経:脊髄から出ているもの)に分かれます。

ところが、この分類では、「自律神経」は登場しません。

実は、これとは異なる側面からの分類があります。

それが、中枢神経(脳と脊髄)と末梢神経(体性神経系:外部環境に関わる神経と自律神経系:内部環境に関わる神経)に分かれるものです。

というのも、この「自律神経」なる名称が考案されたのは1898年で、詳しいことが明らかにされたのは20世紀半ば以降のことでまだまだ新しい分野なのです。

外部環境に関わる体性神経系は運動神経と感覚神経に分かれ、内部環境(の恒常性の維持)に関わる自律神経は交感神経と副交感神経に分かれます。

つまり、今回のテーマである「自律神経」とは、脳もしくは脊髄から出て血管を含めたすべての臓器につながってそれらの働きを司る神経ということになります。

どのように内部環境の恒常性を維持するのかと言えば、交感神経の活動が高まると「体の活動に適した状況」が作られる、つまり「闘争か逃走(Fight or Flight)」の反応を引き起こし、逆に副交感神経の活動が高まると「次の活動に備える状況」が作られる、つまりリラックスしたり睡眠や食事をとったりすることの準備にはいる(消化器官は副交感神経によって活発化される)といった具合です。

たとえば、火事場の馬鹿力は、交感神経が異常に活動することによる闘争か逃亡(Fight or Flight)」の反応の結果であり、危険を乗り越えるために私たちに生まれつき備わっている防衛・緊急反応と言えます。

この交感神経が活発になる時に働く神経伝達物質がアドレナリンとノルアドレナリンであり、どちらも同じような化学構造で生理作用も似通っているのですが、前者が心拍と血糖値の向上作用、後者が血管の収縮作用による血圧向上作用をもたらすのです。

ちなみに、この「交感神経」と「副交感神経」は一つ一つの臓器に両方がつながっており(二重支配)、その二つがその臓器に対して相反する作用(拮抗支配)を示します。

しかも、その二つはどちらかが働いていたらもう片方は休むという形ではなく、昼夜を問わずどちらもずっと働き続け、それぞれが活動を強めたり弱めたりしてバランスを取ることで内部環境の恒常性の維持を図るのです。

つまり、「体が整う」とはこのような環境から脱することで「交感神経」と「副交感神経」のバランスが保たれた状態にあるということなのです。

しかしながら現代社会は、この二つのうちの「交感神経」の方が活発になりやすく両者のバランスが大きく崩れやすい状況を引き起こしており、それが大きな問題となっています。

この「交感神経」と「副交感神経」のバランスが崩れやすい環境となってしまった現代社会において、具体的にどのような問題が生じているのかについては、本書の内容よりもすでにこのブログでご紹介した「メンタル脳」の記事のほうがより詳しく書かれていましたので、そちらをご参照ください。

どうやら、スマホを片手に悩み事を抱えながらサウナに行っても「体が整う」ことはないかもしれません。

 

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