
言語における「性」はどう決まるのか
2025年5月23日 CATEGORY - 代表ブログ
皆さん、こんにちは。
私はアメリカの大学で「フランス語」を外国語として学んだことから、アメリカ留学を終えて日本に帰国する前にフランスに寄って3カ月ホームステイを経験しました。
フランス語は日本語や英語と異なり、名詞の語尾によって男性名詞か女性名詞かが区別される言語です。
私は、アメリカでフランス語を学んでいた時には、この「言語の性」の本質について全くと言っていいほど理解をすることができませんでしたが、フランスで実際にこの言語を使って生活をそれば、その本質というものをつかむことができるのではないかという期待を持っていました。
しかし結局、3か月間のフランス留学を経てもその本質を理解することができませんでした。
ですが、前回ご紹介した「日本語の大疑問」という本の中に、その本質にかなり迫った記述を見つけましたのでご紹介したいと思います。
とその前に、一般論として「言語の性」とは何かについてAIに聞いてみましたので議論の前提としてその回答を引用させてください。
「言語における『性』は、主に名詞や形容詞などの文法的なカテゴリとして、男性・女性・中性といったように分類される場合があり、言語ごとにその基準が異なります。これらの分類は、必ずしも生物的な性別と一致するとは限らず、音韻的または文化的理由から決まることがあります。 例えば、ラテン語やドイツ語など、名詞に性別を区別する言語では、名詞ごとに男性、女性、中性のいずれかに分類されます。言語における性別は、必ずしも生物的な性別と対応しているわけではありません。例えば、ドイツ語ではMädchen(少女)は中性名詞です。言語における性別分類の理由は、必ずしも明確ではありません。しかし、言語学者は、人間の分類に対する傾向や、特定の言語共同体の文化的な背景などが影響していると推測しています。世界の言語には、名詞に性別を区別する言語もあれば、しない言語も存在します。日本語や英語のように性別を区別しない言語もあれば、スワヒリ語のように名詞クラスが12もある言語もあります。」
つまりは、言語における性別分類には明確なルールというものがないということ。
ですから、私が「結局三カ月のフランス留学を経てもその本質を理解することができませんでした。」と感じてしまったのも当然だったということかもしれません。
ただ、当該言語がその言語体系の中に存在しない外国語の単語を外来語として導入するときに、その単語の性をどうするのかを観察することができれば、その本質にもう少し迫ることができるかもしれない。
実は、本書にはそのようなことに言及している部分がありましたので以下に該当箇所を引用します。
「例えば、フランス語に日本語の『下駄』が借用されたときには、(日本語が何でもカタカナにして外来語を作るようには)簡単にはいきません。フランス語ではすべての名詞がどの性に属するかによって、その名詞を修飾する形容詞の形や名詞を受ける代名詞の形が違ってきます。このため外来語でも性が決まらなければその後使えないのです。外来語をはじめとする新語の性はその単語が使われているうちに何となく決まっていくもので、名詞の性を決めるための必然的な手掛かりがあるわけではありません。今でもフランス語では、下駄は男性が履くもの、というイメージが強いために男性扱いとされたり、ラテン語で-aで終わる単数名詞はほとんど女性名詞、という理由から女性扱いとなったりと、共通認識はまだ得られていないようです。また、言語によっては、品詞ごとに固有の語尾が決まっており、外国語から単語を取り入れる際には、その単語がその語尾で終わるよう、語形そのものを調整しなければならないこともあります。」
なるほど、それぞれの人が、それぞれに何かしらの根拠を自分なりに選択しながら、ある人は男性名詞、またある人は女性名詞として取り扱うという意味で、「共通認識はまだ得られていない」というのがその本質だというのがよく分かりました。
決して根拠のない「でたらめ」なものではないけどれも、かといってその言語を母国語として使っている人も「明確な根拠」に基づいているものでもない。
これこそが、その本質だということが良くわかり、私の長年の胸のつかえがようやく取れた気がします。