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転機などなくいつの間にか

2026年4月21日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

昨日(2026年4月20日)の読売新聞夕刊の「よみうり寸評」に「たしかにな~」と思える文豪の指摘が取り上げられていましたので、該当部分を以下に引用します。

「あの出来事が転機となって現在の私がある。そんな具合に自身の半生を振り返る人は少なくない。太宰治はそれをあまり信じなかったらしい。自伝的小説『東京八景』に綴っている。<人の転機の説明は、どうも何だか空々しい>そして<多くの場合、他人は、いつのまにか、ちがう野原を歩いている>と。個々の人生から現下の世界情勢に視線を移すと、この記述に一層実感が伴う。少し前まで国際秩序の破壊者と言えばロシアのプーチン大統領をまず連想していたが、気が付いたら日本の同盟国の大統領が肩を並べる存在と化していた、というのが大方の実感だろう。国際秩序の破壊に本来<いつのまにか>があってはなるまい。不都合な未来を拒むために摘み取るべき転機もある。」

しかし、本当のこの不都合な未来を拒むために摘み取るべき転機はあったのでしょうか。

正直、ヨーロッパも日本も、国際社会にもそのような転機は存在しませんでした。なぜなら、彼はアメリカの国民によって公正な選挙で選ばれた大統領であるため、どうすることもできない範疇で彼はこの世に誕生したわけですから。

では、アメリカ社会においてはどうだったのでしょうか。

私はかなり前に、「トランプ勝利は想定外ではなかった」の記事で、実はトランプ誕生に至る土壌および空気の醸成はアメリカにおいては「いつの間に」か「着実に」作られていったという見方について取り上げていました。

以下、該当部分を引用します。

「バイデン・ハリスの民主党政権は、少数派のインテリ高所得層に照準を合わせた経済政策でアメリカ全体の富を最大化させたことを『成果』として誇っているだけで、額に汗して生活費を稼ぐアメリカ国民の多数派にはその成果を十分に分配してきているとは言えないということです。いくら『新産業創出』だとか『クリーンエネルギー』だと誇ってみたところで、選挙では1票は1票ですので、多数派を無視して勝てるものではありません。このあまりに単純なことに、私達外野はもちろんのこと、当事者である米国 民主党の面々も気づくことができなかったということでしょうか。」

つまりアメリカにおいては、多数派にとって「不都合な未来」ではなく「不都合な現実」が長らくその場にあったにもかかわらず、民主党の面々には気づくことができなかった(というよりは見ないようにしていたといったほうが正確かも)わけですから、それは「転機」ではなく「いつの間に」か「着実に」作られたものだと言えます。

そういった「不都合な未来」の芽がいずれ萌芽して、多くの人によって「転機」として見える状況になる前に、摘み取ることができるのが成熟した政治家であり、そんな彼ら彼女らを選び出すことができるのが成熟した有権者なのだということなのでしょう。

このような文脈で自分の言葉が取りざたされるなど太宰は知る由もなかったでしょうが、未来に背を向け続けた文豪には似合わない「たしかにな~」と思える指摘でした。