
開業医の正体
2025年5月27日 CATEGORY - 代表ブログ
皆さん、こんにちは。
コロナ禍においては「世界で最も病床数が多い日本の医療が崩壊する本当の理由」という記事を書いて、なぜ医療先進国であったはずの日本において先進国の中で最も早くそして深刻に「医療崩壊」を起こしてしまったのか、その理由として、
「日本医師会の力が強すぎて、そのメンバーである医師がコロナ患者を受け入れたくないとなれば、国もその総意に逆らうことができないから」
といういわゆる「日本医師会の闇」の問題あげて、何度かにわたって論じてまいりました。
コロナ禍が明けてかなりの時間が経過したタイミングではありますが、その医師会の構成メンバーたる「開業医」の実態について詳しく知りたいと思いそのものズバリのタイトル「開業医の正体」という本を読んでみました。
本書の著者は現役の「開業医」の方です。
私にも開業医の友人は結構いるのですが、なかなか「日本医師会の闇」を知ってしまったからには彼らに直接聞くことにためらいがありましたので、「蛇の道は蛇」ではないですが、直接聞いた気になれる本書を選択した次第です。
実際に読んでみると、例えば、「クリニックはどうやって作るのか」「開業医はお金をどう工面しているのか」「開業医(勤務医との比較による)の収入」「開業医はどんな生活をしているのか」「開業医は診察をしながら何を考えているのか」など、「開業医」の仕事をさまざまな観点から具体的に説明した本でした。
ちなみに、せっかくですから一番下世話で一番興味のある「お金」について説明している部分を引用してみましょう。(笑)
まずは、「医学部卒業までに必要な学費」についてです。
これは国立大学と私立大学で驚くほどの違いがあります。
国立大学の授業料は、医学部も文学部も同じで、現在のところ年間53万5800円で決して高いものではありません。(ただし医学部は6年間なので総額はその分高い)
一方で私立大学の授業料は平均すると国立大学の実に10倍。偏差値に反比例して授業料は高くなり、一番偏差値の高い慶応大学・日本医科大学・東京慈恵会大学などは軒並み年間360万円程度だが、一番高額な川崎医科大学に至っては年間758万円を超えると言います。
ちなみに、順天堂大学が最近学費を下げたことで偏差値が上がったとのことなので、「偏差値に反比例して授業料が高くなる」というよりか、「授業料に反比例して偏差値が高くなる」と言ったほうが正しいのかもしれません。
続いて、「開業医(勤務医との比較による)の収入」についてです。
勤務医(平均年齢43.4歳)の平均年収1479万円
開業医(平均年齢59.4歳)
法人開業医の平均年収2530万円
個人開業医の平均年収2458万円
これを見てみると、勤務医と開業医では同じ職業とは到底思えないほどに格差があるあることが分かります。
ここで思い出したのですが、国立大学の医学部に進んで現在開業医をしている高校の時の同級生と話しているときに彼が、
「正直、国のお金で勉強・研究をさせてもらったのに、町医者(開業医)をするのはとても心苦しく申し訳ない気持ちになる」
と言ったことの意味がよく分かるような気がしました。
このように、本書での説明はいちいち具体的でテクニカルなものでした。
ですので、当初期待していた「日本医師会の闇」に関連した開業医の実態について深く理解するという目的とはほとんど関係のないという意味ではいささか残念なものでした。
しかし、このように実に生々しい現実に即した事実を知ることができたという意味で本書は非常に面白かったので、すかさず本書内で紹介されていた同著者の「患者が知らない開業医の本音」も反射的に購入してしまいました。
次回は、そちらの感想を書いてみようと思います。(おそらくそちらも当初の期待にはそぐわない可能性が高そうですが、、、別の意味での好奇心に逆らうことができませんでした)