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静岡県の茶産業首位転落に思う

2021年3月29日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

静岡県の茶業界にとって絶対に来てほしくないが来るべき日が遂に来てしまいました。

先日(2021年3月12日)、次のような報道がありました。

「農林水産省は、2019年の農業産出額を発表し、生産量で日本一の静岡県の茶は前年比18・5%減の251億円と激減、生産量で猛追していた鹿児島県に初めて抜かれた。産出額は鹿児島も13・1%減だったが252億円と静岡県をやや上回った。産出額ベースで静岡県は記録が残る1970年から続いた首位の座から陥落した。」

今回の首位転落の原因を記事は以下のように分析しています。

「静岡県産は、乗用の大型摘採機の導入などが難しい山の斜面や肥沃(ひよく)な台地での茶づくりが特徴。手間のかかる分、取引価格の高い一番茶の生産比率が高いが、リーフ茶(急須で入れるお茶)需要の低迷で、供給量が減少しているにもかかわらず、相場も下降基調が続く。」

逆に言えば、首位に立った鹿児島県のお茶業者は、ペットボトルのお茶などに使用される比較的低価格のお茶を大規模にそして効率的に生産することでこの逆転を果たしたと言えます。

実は、ランゲッジ・ヴィレッジを運営する大芳産業株式会社の祖業は「静岡茶の自園・自製・販売」でした。現在のお茶部門としては、「販売」のみを細々と行っています。

ですから、私は子供のころ「お茶屋の息子」として、家業が静岡茶業界の衰退に合わせてその業界から撤退するプロセスを見ながら育ったと言えます。

弊社が「自園・自製」から撤退し始めたのが1980年代後半まさに静岡茶の絶頂期でしたが、その一番大きな理由は、お茶の生産の根本的性質が企業として運営することに適していないと判断したことです。

その根本的性質とは、「一番茶が出回る5月の収入が年間のほとんどを占める」ことです。

すなわち、畑を手入れする人員と茶葉を加工する工場設備を、このほぼ5月だけフル稼働させ、それ以外の年間のほとんどの期間は遊ばせておくことになります。(その時期には小学生だった私も駆り出され、私にとってGWはトラウマになりそうなくらい嫌な時期でした)

そこで、かなり早い段階から茶業以外の強化プラスティック(FRP)の加工や物流事業といった別事業も営んでいました。

その上で、1980年代後半から段階的に茶業から撤退していきました。

弊社としては、お茶の「自園・自製」よりも自社にあった事業を見つけることができたので「撤退」を選択しましたが、当時としても静岡茶はまだまだ日本一であったわけで、5月のお茶の売上を確保しつつ、年間を通じて別事業にて企業利益を確保するということも十分選択肢としてはあったと思います。

もし、静岡の多くの茶業者がそのような判断をしていたら、お茶に関わる時期が限定的であったとしても、それ以外からの収入を「特徴ある茶づくりで、静岡茶ブランドを高めていく」ことに使えるようになることで、5月のお茶からの収益率を爆発的に上げ、異なる結果を導くことができたのではないかと思います。

今後、仮に出荷額では鹿児島に及ばなくとも、静岡茶のブランド力「日本一」を維持し続けていくことは十分に可能だと思います。

「お茶屋の息子」として育った私としては、そのことを願ってやみません。