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なぜメタファーはコミュニケーションに効くのか

2016年4月13日 CATEGORY - 代表ブログ

脳                

 

 

 

 

 

 

 

皆さん、こんにちは。

前回紹介した「合理的なのに愚かな戦略」は、前半くらいまではまさに戦略の話なのですが、後半に入ってかなりの部分、コミュニケーションの話になってきます。

そして、意外に「なるほど」と思える面白いものが多くありました。 今回はそのうちの一つをご紹介します。

それは、コミュニケーションにおけるメタファー(たとえ話)の有効性の話です。

まず、脳の機能云々の前に、感覚的にもその有効性については理解ができます。例えば、人が何かを伝えるということは、そのことはその話をしている人の頭にあることを「言葉」によって理解させる行為です。 手も使えなければ、足も使えない。ただ、「言葉」だけで伝えなければならないから、人にものを伝えることはそもそも難しいことなのです。

ですが、誰もが知っているイメージをその伝える人がその「言葉」に添えて伝えたらどうでしょう?

本書では、小泉元首相が、「自民党をぶっ壊す」と言って、多くの国民の理解を短期間のうちに得たという例が挙げられていました。

ですが、よく考えてみると、「ぶっ壊す」という表現は建物など物理的な形のあるものを解体するときに使用するべき言葉で、本来は「自民党を改革する。」とか「自民党を革新する。」などというべきなので、「自民党をぶっ壊す。」は明らかにメタファーを使用したことになります。

この結果、これを聞いた多くの国民には、従来の政治の悪いところが目立った当時の自民党を「変える」必要があるということが非常に直接的に伝わりました。

つまり、これは一人一人の聴衆が本来はバラバラに持っているはずの「変える」という概念を、建物や壁が崩れ落ちるようなほとんど同一の具体的なイメージとして伝えることが可能となったということです。

そして、もっと掘り下げて、脳の機能から見てもそのことが明らかにされているということも紹介されています。 例えば、「香水」とか「コーヒー」といった単語は人間の脳の言語領域だけではなく、嗅覚に関係する部位をも活性化させることが、MRIを使用した実験でも明らかになっているようなのです。

ですので、メタファーを使用した「ビロードのような声を持った歌手」や「絹のようななめらかな肌」という表現を聞いた脳は、触覚、圧覚、温覚のような感覚領域までもが活性化するため、「うつくしい声を持った歌手」や「なめらかな肌」といったように「言語」だけで表現された場合と比較して、何倍もの助けがあるに等しいということになるようです。

日本人は口数が少ないと言われます。これは言い換えれば、コミュニケーションの絶対量が不足しているということになります。 ですが、このメタファーの力を借りれば、口数の少ない日本人のコミュニケーションの質を高めることによって、その効果性を一気に何倍も上げることができる可能性があるということです。

グローバル社会では英語力を高めるのも当然重要となります。

ですが、日本語、英語という言語の別の関わらず、日本人はこのメタファーの力を開発することに力を入れれば、人に伝える力というコミュニケーション力自体の向上について改善することができるかもしれません。

これが、口数の少ない日本人のグローバルコミュニケーションの形となったらいいなと思います。  

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