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なぜ「本質」は大勢を占めないのか

2015年1月11日 CATEGORY - 代表ブログ

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皆さん、こんにちは。

ナポレオン・ヒル博士の「思考は現実化する」という本を読んだことがある方は、皆さんの中にもかなりの数にのぼると思います。それほどにこの本は名著中の名著なのですが、その直後に書かれた「悪魔を出し抜け」という本についてはご存じない方も多いと思います。

この本は、博士と「悪魔」との対話形式で人間の「意識」についてで論じ、明確な目標をもって、その意識をコントロールする(自らの頭で考える)ことができないことによってこの世の中の98%の人間が「流される」ことによって自らで人生を切り開くことができない(悪魔に支配されている)状態にあることを明らかにするものです。

実はこの本は、「思考は現実化する」を発表した翌年である1938年に書き上げられていたのですが、ナポレオン・ヒル博士の親族の反対により72年年間ずっと封印されていたといういわくつきのものです。

私は、この本を読み進めていく中で、ビジネスにおいても家庭生活においても、なぜ物事の「本質」が世の中の大勢を占めることがないのかが分かったような気がします。

本書は、ヒル博士と「悪魔」との対話という一見、子供だましのような形式をとっているのですが、読み進めれば進めるほどその形式をとることによって人間の「本質」にぎりぎりまで迫っていることが良く分かるようになっています。もし、このような形式をとらなければ、この本に書かれている内容の説得性は圧倒的に低いものとなっていたはずです。

にもかかわらず、というかだからこそというべきか、本書の原稿が、1938年から2010年までの実に72年間にわたって隠され続けてきたという事実は非常に興味深いことです。

ヒル博士とその仲間の活動は、まさにその世の中を少しでも「本質」に仕向けることが目的であったはずが、その彼らをしても、自分自身の著作のあまりに鋭い切れ味に対して「本質」とは正反対の前提で動いている世間の反応に恐れをなしたということでしょうか。

実際に、本書には以下のような記述があります。

「ヒル博士:どうしてあなたは、自分の告白が本になって出版されることを阻止しようとはしないのですか?

悪魔:お前がその本を確実に出版できるようにすることが実は私にとって最良の途なのだ。私には出版の邪魔をするよりももっと良い手がある。お前には一日も早くこの本を出版してもらって、あとはお前が苦しむところをゆっくりと拝見するつもりなのだ。本が出版されれば、私の忠実な僕である「流される」人間たちが、すぐにお前を窮地に陥れるだろう。私にはお前の話を否定する必要などない。私を信奉する者たちが代わりに否定してくれる。よく見ているがいい。」

本書が1938年以降も世の中では自己啓発本や宗教関係の本が毎年何千冊と出版され、多くのセミナ―なども開かれ続けているのにもかかわらず、それでも「流される」人間と「自ら考える」人間との比率が悪魔のいうように「98:2」というバランスが変わらないという現象はやはりこの仕組みの証明ということように思えてしまいます。

それはつまり、2010年にこの本を出版することを決断したヒル博士の後進の方々の勇気も報われないということになってしまうのでしょうか。そのことに対するヒントが悪魔のコメントの中にありました。

「公教育を「流される」人間を量産することから「考える」人間を輩出する場に替えたいのなら、その最も早くて確実な方法は、まず私立学校に導入させて一般の要請を喚起し、公教育の管理者たちもそのアイデアを採用せざるを得なくすることだ。(一部加筆修正)」

まさに、これは2010年になされた決断と同じことではないでしょうか。つまり、現在「2」の割合しかいない「自ら考える」人間が、勇気を出してできることを実践していくことで、その割合自体を少しずつでも変えていくことができることを示唆したものだと思います。

私が身を置く英語教育業界も、まさに「本質」が大勢を占めることがない業界の代表例だと思っています。

もちろん、ヒル博士のように世の中全体に対してそのような働きかけをする勇気も能力も私にはありませんが、少なくとも自分が身を置く業界の中でくらいは、自らの頭で考えることをやめずに、「本来あるべき」ことを実践していくことで、「本質」が日の目を見られるようにしていきたいと思います。

 

 

 

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