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ふじのくに地球環境史博物館に行ってみました

2019年9月27日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

前回のブログにて「バックキャスト思考」という考えについて書かれた本をご紹介しました。

その中で、バックキャスト思考によって開発されたものの典型例である2030年の入浴風景としての「水のいらない泡の風呂」について少し詳しく引用しましたが、その中で実はそのお風呂が静岡県静岡市の「ふじのくに地球環境史ミュージアム」にて展示されていると書かれていたため、さっそく子どもたちを連れて行ってきました。

この写真は「水のいらない泡の風呂」の展示パネルです。

行く前に調べて分かったことですが、実はこの博物館はその場所からして地球環境のことを考えて作られていました。

というのも、これは2013年に廃校となった静岡県立静岡南高校の校舎をリノベーションして作られたものだったのです。

元々学校であった証拠として一教室をそのまま残しつつ、それ以外のところを現代的で快適な空間にリノベーションされています。

この部屋は、「図鑑カフェ」といって、軽食や飲み物を飲みながらたくさんの図鑑に親しむことができるスペースです。

うちの子どもたちも、最初は無理やり私に連れてこられた感じでしたが、最終的にはかなりテンションが上がって積極的に見て回っていました。

この世の中で最も環境負荷の少ない建築とは、すでに存在している建物の価値を高め、より長い時間建物としての役割を果たさせることだと思います。なぜなら、新しい建物を作るということは、すでに存在しているものを見捨てた上で、さらに環境負荷を高めることだからです。

その意味で言えば、この博物館はその存在自体で世の中に環境負荷を下げることの意味を訴える役割を果たしていると言えるでしょう。

私たちの会社でも、ランゲッジ・ヴィレッジはもちろんのこと、他の部門においても中古物件をその活用方法を吟味した上でリノベーションし、新しい価値を付加することを第一に考えるようにしています。

これによって、最も環境負荷が少なく新規事業に取り組め、なによりも新築することに比べコストを圧倒的に抑えることができるからです。

このように、その存在からして環境教育のお手本のような「ふじのくに地球環境史ミュージアム」ですが、その展示内容についても、面白い視点に満ちていました。

この部屋では、日本人の歴史をその環境負荷の視点からビジュアルで把握できる展示がされていました。

手前から、縄文時代、弥生時代、江戸時代、そして現代と並んでいるのですが、それぞれシーソーになっており、左側に「人間の生活風景」、右側には「自然の風景」の模型がおかれています。

ご覧のように、自然をそのまま受けれいていた縄文時代から、自然を加工し農業を始めた弥生時代、そしてそれを大規模に行うようになった江戸時代、そして最終的に自然のすべてをコントロールしようとすることで自然を大規模に破壊してしまった現代に向かうにしたがって、そのシーソーのバランスが徐々に人間の側に下がっていき、最終的に現代ではもはや床についてしまっていることが分かります。

昨今、国連にて採択されたSDGs(持続可能な開発目標)を意識してこのバランスを取り戻そうとする動きが世界で盛り上がりつつありますが、現実には廃プラスティックの問題でも明らかになように、利便性という人間の強い欲望が絡む複雑な問題であり、自然破壊のスピードに人間の気づきのスピードは全く追いついていないように思います。

この博物館は、そのバランスをもとに戻すことの重要性を体感できる非常に大切な場所だと思います。

 

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