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キッザニアというビジネスモデル芸術

2014年5月21日 CATEGORY - 代表ブログ

長蛇の列

 

 

 

 

 

 

皆さん、こんにちは。

先日、うちの子供たちを連れてキッザニア東京に行ってきました。というより、無理やり同行させられたというのが正しい表現ですが。

実際に、開館時間より30分も前に行ったのにご覧の通りの長蛇の列で、さっそく私のテンションは激下がり、、、案の定、最悪のスタートだったのですが、実際に体験が進んでいくと、キッザニアの運営が教育の視点からも、そしてビジネスの視点からも非常に素晴らしいものだったのでリポートすることにします。

ピザ

 

 

 

 

 

 

まず、男性陣が真っ先に向かったのが、ピザーラでのピザ作りパビリオンです。すでに前回、女房と子供たちで行った時にチェック済みで、作業後に自分で作った出来立てピザを食べることができるのを知っていての直行でした。この点は、私のDNAがしっかりと作用しているようです。(笑)

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 そして、うちの紅一点は、男性陣と異なりピザーラには目もくれず、資生堂のビューティーサロンへ!人間の興味の対象がこんな小さなころから男女で明らかに違うことに改めて驚かされました。ご覧のように、施設は本物そっくりのビューティーサロンで、非常に高いクオリティ。その上、デパートの1Fでおなじみのあの制服を着てビューティーコンサルタントに変身してしまいました。そのなりきりぶりと言ったら4歳の娘のすまし顔に空恐ろしさを感じるほどでした、、、、

 私はどうせ何時間も待たされるのならと、うちの子供たちだけではなく他の子供たちの観察も通していろいろとキッザニア分析をしてみました。それによって見出したこの施設のポイントは「労働」に「対価」の概念をしっかりと持ち込んでいるところだと直感しました。

お金

 

 

 

 

 

 

例えば、資生堂のパビリオンでは、ネイルにマニキュアを塗るコンサルタント側と、塗られるお客様側に分かれます。そして、前者には給料としてキッゾという単位のお金がしっかりとその労働に対して支払われ、後者は自らがほかの「会社」で同様に稼いだキッゾを支払う必要があるのです。

うちの4歳の子供たちは、幼稚園の先生など慣れた大人の指示に従って行動することはできますが、親から離れて知らない人の指示命令系統の下で何かを長時間するということまではできないと思っていました。また、一つ一つの施設を利用するために60分とか90分待つ必要があるのですが、これらもとても無理ではないかと思っていました。

それが、ここでは問題なくできてしまうのです。(私のほうが待ち時間にぶつぶつ文句を言っていたくらいです、、、)

この要因が何なのかを、真剣に考えていたのですが、最終的にそれは「責任感」ではないかと私は分析しました。実際にお金をいただくという責任感からくる心地よい緊張感が、通常とは違った精神状態に彼らをおいているように思えたのです。

そして、私がぶつぶつ文句を言っていた長い待ち時間の間も、彼らが心地よい緊張感の中で何も文句を言わずに待つことができたもう一つの要因は、その仕事への純粋な「興味」ではないかと思います。このことは、このキッザニアを単なる優秀なビジネスモデルとしてだけでなく、優秀な教育施設足らしめているような気がします。

現在の日本では、多くの大学生が就職活動において企業の規模や名前のみを基準とし、自分が何を職業としたいのかという職業への「興味」をないがしろにしています。もし、彼らが大学生になっても、あのキッザニアでの「興味」に基づく職業選択の経験からくる快感を少しでも覚えているとすれば、就職後の期待と実際のギャップによる早期離職率を減らすことができるのではないかとも思ったりするわけです。

また、キッザニアにはなぜか、英語を所々で使用するという仕組みがあります。

これについては、私は小学校英語への「反対」の立場から、なんでそんな中途半端なことをするのか?と思いました。しかし、その専門的英語教育視点からの見方を一旦横において、ビジネスと教育効果の二つの側面から改めて考えてみました。

まず、ビジネスの側面から。キッザニアと言えど子供相手のビジネスである以上、休日と平日の入場者数の変動という構造的な問題を抱えているはずです。ですが、学校の教育旅行というニーズに対応できれば、それが一気に解消されることになります。そこで、職業体験以外に英語教育の機会を加えることにより、特に小学校英語が正式に導入された今だからこそ、修学旅行ニーズ、社会科見学ニーズを取り込むための強力な誘客要素になるのだと気づきました。

また、それが中途半端な代物であったとしても、現在の日本国内で彼らが小学校で学んだ英語を試す場所としては非常に貴重であることから、そのこと自体の教育効果も一定の評価はできると思いました。

財布

 

 

 

 

 

 

このように、最低のテンションで始まった私のキッザニア体験でしたが、最後には徹底的に計算しつくされたビジネスモデルを実体感できたという感動から、最後には最高のテンションにまで高められました。

そして、最後に極め付けの仕組みが待っていました。

それは、帰る段階で子供たちが自分で稼いだキッゾを銀行の口座に預けることができ、それを次回以降引き出して使用することができるという仕組みです。三井住友銀行がスポンサーとなっている銀行パビリオンにて、写真のような本物に限りなく近いキャッシュカードが発行されるのです。(自分の預金がいくらあるか館内のATMにて確認できるようになっています。)

何という、リピーター創造システムでしょう。

自らの「労働」の「対価」として獲得したお金を預金して帰るのであれば、「次回また来て使いたい」という気持ちは当然にして再生産されるに決まっています。また、子供特有の「収集」意欲に火をつけることにもなります。

恐るべきキッザニア。ここまで来るともはやビジネスモデルの芸術作品と言ってもよいような気がします。(笑)

最終的に、子供たち以上にキッザニアの魅力に圧倒されることになった私でしたが、私の場合は子供たちと違って一回で十分です。ですから、キッザニアとしてこれ以上の改善策として私のような大人へのリピーター創造システムを考えていただければ、完璧なビジネスモデルとなるのではないかと思いました。

 

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