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グリーン・ジャイアント

2021年11月17日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

前回「COPの数字のプレッシャー」の記事を書くことで、「気候変動」という人類の未来を左右するほどの問題であっても、「経済」を無視して進めることは難しいという現実をまざまざと感じさせられました。

気候変動と経済の関係については、以前にこのブログでも「SDGsの正体」という記事にて、

「ただその上で踊らされる(コストをかける)のではなく、その意味を理解して、自分の意志で踊る(利益を上げる)ことができるようにすべきではないか」

という著者の考えをご紹介し、この問題を大きく前に進めるためには、「経済」という人間の欲の力をポジティブに活用することの重要性を学びました。

そこで、今回ももう少し突っ込んで、この「気候変動」と「経済」とを合わせた「気候変動経済」というテーマを考えるために、「グリーン・ジャイアント」という本を読んでみましたのでご紹介します。

本書には、この「気候変動経済」の本質を理解するために最適な説明として、COP21の「パリ協定」の実現を主導するEUの欧州委員会のウルズラ・フォンデアライエン委員長の以下の発言が引用されています。

「私たちの目標は、経済と地球を調和させること、生産、消費の仕方を地球と調和させること、そして、それを人々のために機能させることです。このため、欧州のグリーンディールはもちろん温室効果ガス排出量の削減を目的にしていながらも、もう一方では雇用の創出とイノベーションの促進を目的としています。私は、化石燃料と汚染に基づいた旧来型の成長モデルは時代遅れであり、我々の地球とは関わりえないと確信しています。つまり、グリーンディールは、私たちの新しい成長戦略なのです。そして、これまでとは違ったものにしたい。私たちは、気候変動に配慮した産業、クリーンテクノロジー、グリーンファイナンスの分野でトップランナーになりたいと考えています。」

COPの数字のプレッシャー」の記事の中でまとめたCOPでの議論の歴史を見ても、この問題の解決のためには、今まで経済的繁栄を謳歌してきたCO2の二大排出国である中国とアメリカはもとより私たち日本を含めたすべての先進国がまず「本気」にならなければ、解決は不可能であることがよく分かります。

ならば、私たちが「本気」になる動機として強力なのは何かを考えてみましょう。

それは、今までやってきたことは「悪」なのだから反省をして生活レベルを落とさなければならないという「倫理」の論理なのか、それとも気候変動に配慮したことをやればやるほど「儲け」につながるのだったらやらない手はないという「経済」の論理なのでしょうか。

私は圧倒的に後者であるだろうと考えます。

というのも、産業革命以降、人類は「大量生産大量消費」の分野で想像もしなかった発展を遂げたのは紛れもない「経済」の論理によるものだったわけで、今度はそれと同じことを「気候変動への配慮」という分野において行うことで、こちらについても「想像もしなかった発展」を遂げることができるはずだからです。

「本気」になるために「経済」の論理を活用する一つの具体例として「カーボンプライシング」という考え方があります。

これは、現在の経済観念で言えば、「化石燃料」による発電は「太陽光」による発電よりもコストが「安い」ように見えているわけですが、それは将来的に化石燃料が環境に対して与えるコストが反映されていないからそう見えているだけだという考えに基づき、CO2の排出に価格を付けることで、それが化石燃料による発電のコストに上乗せすることで、本当の意味での「コスト」をみえるようにする仕組みです。

その具体的な形が、EUが2005年から実施している「排出量取引制度」とフィンランドやスウェーデンが1990年代から実施している「炭素税」です。

これらによって私たちは「太陽光」など環境負荷の少ない方法を選択することに「本気」になることを実感できます。

これ以外にも本書には上記の考え方に基づいて再エネは高コストだと言われていた時代から地道に取り組んできた多くの「グリーンジャイアント」とよばれる再エネ企業の具体例が示されており、私たち日本はこの問題については圧倒的に意識が低いことを自覚させられました。

このように考えると、「SDGsの正体」で取り上げた「欧米白人社会によるマッチポンプ(自作自演)による我田引水」の論理もそのことを理解して最大限に活用することは問題解決の手法として決して悪くはないというか、むしろ人類の希望だと捉えることができるような気がしてきました。

 

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