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コロナショックを生き抜く(お金編))

2021年7月30日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

先日、「コロナ自粛の大罪」という本をご紹介して、政府や自治体が本来持つべき「政治的」な対策を「恒常的」に取る姿勢を示せていないことの罪深さについて見ました。

今回は、政治的、恒常的な姿勢が最も求められるべき対象である「お金」についてもう少し専門的な視点から見るために、「コロナショックを生き抜くお金の守り方」という本を読んでみましたのでご紹介します。

コロナショックが起こる前から日本政府の債務は1000兆円を超えGDP比で圧倒的世界一位となっていたのですが、このコロナ対応のための異次元の財政出動によってその額はぐっと増えることになりました。

この状況は、一般家庭の借金状況に落とし込んで考えるといかに危機的状況か分かります。

歳入がたかだか70兆円の日本政府がその17倍の1200兆円の借金をしているわけですから、年収700万円の家庭が1億2000万円の借金をしていることと同じなわけで、もはやどうしようもないところまで来てしまっているということになります。

しかし、日本においては「国と家庭は違う」という議論があります。

というのも、日本はその国債のほとんどを日本国民が引き受けているという特徴があるので、「国の借金=国民の財産」ということになり、一般家庭と比べるべきではないという反論です。

しかし、この反論の出所は、実は太平洋戦争中に大政翼賛会が隣組に150万冊配った宣伝読本「戦費と国債」であり、国民に国債を買わせるためのプロパガンダとして機能したようです。

そして、実際に戦後のハイパーインフレで戦時国債はすべて紙くず同然となってしまいました。

本書は、上記のような「日本ではハイパーインフレは起こらない」とする楽観論を正面から否定するための様々な証拠をあげて、かつて太平洋戦争の敗戦がそのきっかけとなったように、「Xデー」は必ずやってくるものだという認識に立ったうえで、その時が来た時に自分たちの生活をいかに守るべきかを指南してくれています。

特に、今回のコロナ禍への政府の異次元の財政対応がその「Xデー」を確実に早めてしまったという意味で、著者はその危機感を一層強く持たなければならないと訴えています。

具体的な「お金の守り方」として著者が本書で提示しているのはいたって着実な方法です。

その中で着実で安定性の高いものとしては、今後人口も増加することが確実で経済成長が担保されるアメリカの通貨であるドル資産を確実に確保すべきだということです。

それから、インフレ影響がない「暗号資産」や「不動産」についてもドルほどの安定性はないものの一定の評価を与えています。

しかし、特筆すべきは著者が最強のインフレ対策として「世界中でメシが食える人」になること、すなわち人材市場での自分自身の価値を高める努力をすることをあげていることです。

その理由はやはり冒頭の「アメリカドル」の話に戻ります。

そうです、「世界中でメシが食える人」になることができれば、いつでもアメリカドルを稼ぐことができるからです。

いつでもアメリカドルを稼ぐ力を身に着けていれば、ドルを買っておく必要がないわけで、こそこそが「最強のインフレ対策」だということです。

ただし、それは日本人が海外に出なければならないということと必ずしもイコールではありません。

ハイパーインフレになるということは極端な円安になるということですから、間違いなく日本の多くの企業は外国人に買収されることになります。

そうなると、日本国内で働く日本人も当然ですが「世界中でメシが食える人」にならざるを得ないということです。

つまり、ハイパーインフレ後の日本人が生きていくためには「世界中でメシが食える人」になるかどうかは選択肢にすらなり得ない必須な事柄になるということです。

非常に厳しい指摘ですが、本書は国民の多くがお金についてマヒしてしまっている今こそ読むべき本だと思います。

 

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