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コロナ禍でも株高の理由

2021年2月1日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

以前に「アベノミクスでの株高の意味」という記事にて、野口悠紀雄教授が指摘する世の中が感じる景況感と安倍政権以降の株価が連動していないと感じられる理由を以下のようにまとめました。

「この株高は(異次元の金融緩和によるカネ余り現象に加え)『生産性が高まったためではないし、新しいビジネスモデルが開発されたからでもない』わけで、上場企業が労働市場の不安定化を利用して売上とコストの差に過ぎない『利益』の部分だけを見て、株式市場はそれを評価したものである。」

この説明は非常に分かりやすく納得感の高いものでした。

そのようなアベノミクスによる株高を経て昨年発生したコロナ禍においても、株価は一時急激に下落をしましたが、その後30年ぶりの高値を記録するなど持ち直すどころかより高値を維持しています。

コロナ禍によって明らかに景気は悪いのに、相変わらず株高を維持している理由がまたもや分からなくなってしまい、その答えをずっと探していたのですが、今度もなかなか納得感がある理由を見つけられずにいました。

異次元の金融緩和によるカネ余り現象があることに変わりはないのですが、今回は特に実際にコロナ禍における需要の低下によって企業の業績がマイナスになっているという状況の中で株価が高いという現象であり、アベノミクスにおける株高に比べてもより不可解の度合いは高いと思います。

ところが、年明け早々、竹中平蔵先生の講演を聴く機会があり、この疑問に対する非常に納得感のある回答をいただくことができました。

それは以下のようなものでした。

「コロナ禍は戦争のようなものです。なぜなら、コロナも戦争も、その最中には需要が低下しますが、それが終われば必ず需要が増えることが分かっているという点で同じだからです。人類の歴史の中で、戦争が終わると必ず強烈なインフレになっています。その理由は簡単です。それは戦争によって生産設備が破壊されてしまうので戦後に需要が増えてもその需要に供給が追いつかないからです。しかし、コロナ禍ではその最中の状況は同じですが、それが収束した時にも生産設備は健全に存在しているため、需要に応えるだけの供給力を維持しているのでインフレを引き起こさずにすむだろうことが期待できます。ですから、企業はこのコロナ禍を乗り越えれば確実に儲かることが明らかだから潤沢な資金は株式市場に誘導されるということです。」

今までいろいろなサイトをチェックしましたが、ここまで納得感のある説明には出会うことができませんでした。さすが、竹中先生だと感心せざるを得ませんでした。

ただし、気を付けなければならないのは、竹中先生の説明は株式市場全体への資金の流入の説明としては完璧な説明となっているように思えますが、すべての企業の株式が一様に高値を維持することの説明にはなり得ないような気がしました。

この点において、私は二つの不安定な要素があることを踏まえておかなければならないと思いました。

まず一つ目は、このコロナ禍がどこまで長期化するのかが今のところ見通すことができないこと。

そして、もう一つは、コロナ禍が長引けば長引くほど株式市場の中でも個別の企業ごとに収益性に対する見方、そしてアフターコロナの世界に適した企業かどうかに対する見方が厳しくなってくることです。

そうなれば、個別の企業ごとの健全性による裁定取引が行われることになるのは当然だと思うからです。

やはり、株式はどこまで行っても企業の価値を反映するものだという理解が重要だと思います。

 

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