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バンクシーの「新作」消される

2020年7月20日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

先日(2020年6月16日)のバンクシーに関する記事にて、彼は世界から「アートテロリスト」と呼ばれ、自らも自分の活動は明らかに違法であるため、逮捕を覚悟で続けていることについて書きました。

今回はそのような彼の活動を象徴するようなニュース記事がありましたのでご紹介します。

「バンクシーがロンドン地下鉄の車両内に描いた新作を、清掃員らがバンクシー作と『知らずに』消去していたと英メディアが15日伝えた。ロンドン交通局は落書きを禁じており、バンクシーも消されることを承知で描いた可能性がありそうだ。ネズミやマスクなどを描いた新作は、新型コロナウイルス感染による苦境からの再起を鼓舞したり、マスクの着用率が低い英国民に使用を促したりする狙いがあったとみられる。バンクシーは14日に新作を巡る一連の作業を『インスタグラム』に投稿していた。交通局側は事情を知らず、動画投稿の数日前に消していたという。」

しかも、今回は自身の制作過程を動画で公開しています。

今回は、堂々と他の乗客もいる中で制作が行われ、それを自ら公開するというかなり原理主義的な「アートテロリスト」ぶりを発揮しています。

前回の記事で明らかにしたように、彼がサザビーズで1億5000万円で落札された瞬間に自らそれをシュレッダーにかけてしまったことや、今回の記事の中にあるように「消されることを承知で描いた」ことは、彼のアート作品をアーティストの意志とは関係なく勝手に「商品」として扱おうとする市場経済に対する「アートは民衆のものである」という強烈なメッセージと捉えるべきでしょう。

一方でロンドン地下鉄の対応についてですが、記事中では「清掃員らがバンクシー作と『知らずに』消去していた」とありますが、仮に「知っていた」としても「消去しない」選択はあってはならないと私は思うのですが皆さんはどうお考えでしょうか。

それは、逮捕を覚悟で「アートテロリスト」としての活動を続けているバンクシーに対してあまりにも情けなく、逆に失礼な姿勢だと思うからです。

今回はそのような意味でも、バンクシーのどこまでも「筋を通す」姿勢が光ったニュースだったと思います。