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ビリギャル、もう一つの物語

2015年11月20日 CATEGORY - 代表ブログ

ダメ親          

 

 

 

 

 

 

    先週のブログ記事では、「ビリギャル」の奇跡を実現させたその著者である坪田信貴氏の立場から見てきましたが、実はこの奇跡の実現には、彼のほかにもう一人、主人公の母親の存在が欠かせませんでした。 今回は、そのビリギャルの母「ああちゃん」による「ダメ親と呼ばれても学年ビリの3人の子を信じてどん底家族を再生させた母の話」についてご紹介します。 この本の内容をまとめると次のようになります。

「『この家族は失敗だ!』と夫(パパ)が嘆くような、罵声ばかりが飛び交う家庭環境。その中で、中学や高校で学年びりだった姉妹が、爆発的に頑張って難関大学(慶応・上智)に合格できた背景にあった、母親(ああちゃん)の信念とは何だったのか?中学、高校時代に歩道も経験するなど自暴自棄になっていた長男の心を取り戻すためにした、母親の改心とは?」 このような母親による子育て法とその体験談です。

本書は前回ご紹介した「ビリギャル」がベストセラーとなったことから、この奇跡のもう一人の立役者である母の体験記として出されたものです。 本書は、本来であれば、家族の恥として隠したくなるようなことも赤裸々に明らかにしているので、非常に臨場感をもってこの家族に起こった出来事を追体験することができるような内容になっています。 ですから、非常に納得感をもってこの体験記を参考にされる方も多いのではないかと思います。

しかし、私はその姿勢には少し待ったをかけたいと思います。 本書に限らず、教育についての本は、基本的に著者の個人的な経験や身近な事例などを基に書かれたものがほとんどなので、非常に主観的になりやすいという性質があります。 つまり、著者が100人いれば、100通りの経験に基づいた持論が展開されることになるということを読む前に理解して読む必要があるということです。 もちろん、ほとんどの場合、それらは実際に起こったことなので、書籍にする価値のある出来事ではありますが、やはりそれは、それぞれのケースによって前提条件が異なっているはずなので、「個人的な体験談」として読み進める必要があると思います。 100通りの「個人的な体験談」を読む私たちの側がすべきことは、それらの個別ケースの中から「一般論」を導き出して、自分たちのケースに応用するということです。

この本の中では、ああちゃんが「学校での時間を睡眠に使用することをやめさせようとする」学校の先生に対して、「お願いですから、さやかを寝かせてあげてください。さやかが寝られるのは学校だけなんです。」と言って譲らなかったというエピソードが書かれていました。 このような「個人的な体験談」から私たちが学ぶべきことは、自分の子供のためにああちゃんと同じことをするべきだということではありません。(そもそも、自分の子供を慶応に入れるために、実際にこのように学校の先生にお願いしようなどと思う方はそう多くはないでしょうが) そうではなく、これらの様々な「個人的な体験談」から読み手としての「一般論」を導き出すことだと思います。 私は、それを「最後まで子供に関心を持ち続けること」だと捉えました。それを、自分自身の行動にどう応用するか、それは私たち読み手一人一人が自分自身の条件と相談しながら、自分自身で決めるべきことだと信じています。