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プロフェッショナルマネージャー

2021年2月14日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

以前にご紹介した「逆タイムマシン経営論」にて著者の楠木教授が、何かと言えば「経営学」が答えを教えてくれるかのように期待する経営者が多い中で、それらに見向きもせずに自らの才覚と努力で「現実」を直視し結果を出し続けた経営者としてご紹介されたのがアメリカのITTのCEOであったハロルド・ジェニーンです。

すかさず、彼の著書「プロフェッショナルマネージャー」を読みました。

楠木教授のみならず、あのユニクロの柳井社長も本書を「これが私の最高の教科書だ」として彼をごりごりの現実主義者であり経営者であるとして絶賛し、解説を寄稿されています。

そんな著者が本書を通じて私たちに伝えてくれることとは、

「経営は科学ではなく人が生きることそのものである」

ということです。もう少し、具体的に彼の主張をまとめます。

彼は、MBAに代表される経営理論はないよりもあったほうがいいに決まっていると断りを入れながら、問題は人がそれを身に着けてしまうと、そのことを過信してしまって却ってマイナスになってしまうことも往々にしてあると言います。

なぜならば、ビジネスは人間が関わって出来上がっているから。

もし、ビジネスが方程式のように固定的なものであるならばMBAの理論は完璧に機能するでしょうが、残念ながらビジネスは人生と同じで生ものであるため、その過信によって最も重要な柔軟さを失ってしまえば元も子もないというわけです。

一方で、理論など全く持ってないがために現実に対してひたむきに対処する態度が身についている人は、最初からビジネスに対して柔軟に接することができ、決して逃げません。

だから、意外にハイスクールも出てないような人が、MBA取得者が束になってかかっても敵わないような大経営者なるなんてことが結構頻繁に起こるのです。

とこんな感じでまとめてみましたが、これは私の実感とも一致する非常に説得力の高いものでした。

このことを完璧に実感できる著者の比喩的説明をダメ押しとして以下にそのまま引用します。

「そのすべてを要約せよと言われたら事業の経営を成功させるコツはかまどで何かを料理する時のようにやることだと言いたい。原始的なかまどでは、火や薪や空気の流通その他の要素は自動的にはコントロールできないから、絶えずすべてに気を配っていなくてはならない。また料理についてはある程度までレシピに従うだろうが、調味料やスパイスをいちいち計量しはしない。適当に振り込んだり注いだりする。それから料理ができていくのを見守る。鍋から目を離さない。時々でき具合を見る。においをかぐ。指を突っ込んで味見をする。自分の好みに合うように、また少し何かを添加するかもしれない。そしてそれが全体に溶け込むのを待って、また味見をする。何をするにせよ一番大事なのは目を離さないことだ。他のことに気を取られたりしていると、その間に煮えすぎたり焦げ付いたりしてしまうかもしれない。そしてちょうどいい具合になった時、ちゃんとそこにいて鍋をかまどから降ろしてやらなくてはならない。そしてその出来上がった料理は電子レンジのボタンを押すだけで自動的に料理されるどんな肉よりおいしいはずだ。そして、それがビジネスの経営に臨む私の心の持ち方である。」

つまり、徹底的な現場主義を貫き通せることが、経営の成功にとって欠かせない最も核になるべき能力であって、MBAに代表される経営理論をしているかどうかは、料理においてある程度まで従うようなレシピぐらいの重要性しかないということでしょう。

むしろ、レシピ(経営理論)は、あればあったでいいけど、電子レンジの時間を気にして鍋に目をかけるのをおろそかにするぐらいだったら、そんなものはない方がいいくらいのもの。

柳井社長が絶賛する理由が心の底からよく分かりました。

 

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