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ポイントはそこじゃない

2018年12月3日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

この間、ラジオ出演に関する記事を書きましたが、ラジオでの対談の中でJIPFLで取り組んでいるSEACTテストに関してパーソナリティの笹原湖都さんから、このテストが2020年に開始される大学入試共通試験の民間試験に採用される可能性について問われました。

その際に、私はきっぱりとその可能性を否定しました。

その理由は、このテストでは、一人一人の英語コミュニケーション力というものすごく抽象的で人間的な能力を人間が一対一で対峙することで測定することになるので、一度に大量に処理することができないことをあげました。

そして、今後の発展性としても、AIの発達でできるようになるかもしれないし、無理かもしれない。ただ、私自身が完全なアナログ人間なので、そちらの開発に対する情熱がないためにそれは期待できないというような話をしました。

ところが、先日(2018年11月22日)の日経電子版の記事に以下のような記事を見つけました。

「英会話教室のイーオンとKDDI総合研究所は22日、人工知能(AI)で英会話の能力を判定するシステムを開発したと発表した。パソコンにつないだマイクに向かって英文を話すと発音やイントネーションの良しあしをAIが採点する。2019年1月から、イーオンに通う生徒向けに提供する。AIは吹き込まれた音声の発音の正確さやリズム、イントネーションなどを評価する。それぞれを五つ星で採点し、総合評価は100点満点で示す。19年1月からイーオンに通う生徒にオンラインサイトで提供し、より多くの音声を集めてAIの精度を高める。将来的にはイーオン以外の英語学習者への開放なども視野に入れている。」

この記事を普通に読めば、これこそが、まさにAIの発達によって実現した「(英語コミュニケーション能力を)一度に大量に処理する」仕組なのかと思われるかもしれません。

しかし、私は「英語コミュニケーション能力」の測定のポイントはそこではないと思っています。

英語を国際共通語としてとらえる現代においては、「吹き込まれた音声の発音やリズム、イントネーションなど」に正解はないとするのが常識となっています。

それに対して、このシステムの評価対象は「吹き込まれた音声の発音の正確さやリズム、イントネーションなど」となっており、完全にこの常識から外れたものです。

英語を国際共通語としてとらえる中での「英語コミュニケーション能力」の本質は、このブログでも今まで何度もお伝えしてきた通り、相手の意図を汲み、相手を説得させることのできる力、すなわち「文脈を作る力」です。

このAIによるシステムの評価対象が「吹き込まれた音声の発音やリズム、イントネーションなど」のレベルにとどまっているということ自体が、「英語コミュニケーション能力」を測定することはまだまだ人間が一対一で対峙することでしか実現できないということを証明しているような気がします。

 

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