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マッキンゼーで叩き込まれた「問い」の力

2022年3月16日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

以前に「なぜコンサルはコンサルなのか」という記事の中でフィールドマネジメント代表の並木祐太氏の著書をご紹介しながら、「経営者」としての経験がないコンサルタントが経営に関する指南をするというコンサルティングサービスの「限界」とその限界の中での「有用性」について考えました。

そのような限界が存在するコンサル業界に身を置きながらも際立って「経営」の世界でその出身者の活躍が際立っている会社があります。

戦略系コンサルティングファームであるマッキンゼーです。

このブログでもマッキンゼーを「卒業」した後、起業した会社を成長させた、または成長させている真っ最中の方々、具体的には南場智子氏、ロコンドの田中裕輔氏らの活躍をこのブログにてご紹介してきました。

また、前出のフィールドマネジメント代表の並木祐太氏もその一人にカウントしてもよろしいかと思います。

今回はマッキンゼー出身者が「経営者」としても通常よりも高い確率で活躍できるその理由について考えるために有益な「マッキンゼーで叩き込まれた「問い」の力」という一冊を読みましたのでご紹介します。

著者は当然ですがマッキンゼー出身で独立してビジネスリーダーを対象にコーチング研修を行っている大嶋祥誉氏です。

著者は本書の中で、人間の「思考」に関して次のような興味深い指摘をしています。

「人間は一日に2万回から3万回思考しています。ただし、それはともすると全く方向性のないモヤモヤした思考ですが、そのモヤモヤした思考に方向性をつけ、コントロールされた本当の思考にもっていくために必要なのが『問い』を立てるということなのです。」

また、「問いを立てる」ことの重要性について次のような指摘もしています。

「飛行機で空を飛ぶということも、昔の人たちには夢でしかなかったわけですが、『鳥が空を飛べるのであれば、同じように何らかの飛行力学に基づいたものを作れば飛べるのではないか?』という問い(仮説)を過去の偉人たちがもったことで実現のものになりました。」

ここで重要なのは、「問い」であって、「断定」ではないということです。

つまり、問いの形にして断定しないからこそ、他の可能性の余地を常に残すという「健全な方向性」を示すことができるということです。

これらの指摘を見た時に思い出したのが、以前にこのブログでご紹介した安宅和人氏の「イシューよりはじめよ」という本です。

この本の中で、明らかにされていた計算式をもう一度確認します。

「アウトプット」=「方向性(イシュー)」×「能力」×「情熱」

つまり、「能力」×「情熱」があっても「方向性」が間違っていればその成果(アウトプット)の価値はゼロどころか、マイナスになってしまうという事実です。

この事実は、このように計算式にしたり、「イシュー」という名前を付けたり、今回のように「問う力」と定義したりすると非常にシンプルで当たり前のようにも見えます。

しかしながら、実際に何かに取り組む際、「能力」×「情熱」を注ぎ始める前にまず、健全な「方向性」を定めるために自分の脳の容量を使う習慣ができている人を見つけることは容易ではありません。

マッキンゼー出身者が通常よりも高い確率で活躍できる理由があるとすれば、彼らがこのことを習慣化することを何よりも優先する環境に身を置き続けてきたことだと納得することができました。