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リモートワークとアウトソーシング

2022年6月26日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

コロナ禍も三年目となり、その出口を探り始める中で「出社ワーク」と「リモートワーク」の対立議論として、前者の「本田技研」 vs   後者の「NTT」の構図がその典型例として出始めました。

しかし、私としてはこれからの働き方のスタンダードはどちらかと考えた時に そのどちらについても「しっくり」きませんでした。

前者については、大学時代からなぜ満員電車なるものが存在し続けているのか全く理解できませんでしたのでコロナ禍に始まったことではありませんが、後者についても、NTTに限らず世の中が「リモート万歳」的な雰囲気になっているのに対してどうも同調しにくさを感じていました。

ただ、その後者にもしっくりこない原因は何かと言われても、「なんとなく」そう感じるだけでその原因を言語化することができずにいました。

それを見事に「言語化」して解説してくれている記事を見つけましたのでご紹介します。

この記事とは幻冬舎GOLD ONLINEにおける大前研一氏の「警鐘、なぜ在宅勤務を喜んでいる場合ではないのか」です。

以下に、記事の内容を要約引用します。

「コロナ禍で日本企業のリモートワークが進んだ一方で、アウトソーシングも進んでいる。アウトソーシングに求められるのは、高いスキルと経営マインドを持った人材だ。それが進むことで、コロナ禍で一般化したリモートワークに安心している人材は職を失うかもしれない。なぜなら、自社に社員を抱え込んで、人事異動を頻繁にやりながら、5年、10年かけて、自社にだけ精通した会社員を養成していくよりも、その分野のエキスパートを一定期間派遣してもらったほうが合理的であることに、多くの日本企業が気づきはじめたからだ。技術の発達によって外部に業務委託をしても何ら矛盾や支障が生じないほど仕事が平準化され、アウトソーシングを厭わない職場環境になっている。」

そうなんです。

私の「しっくり」こないポイントは、「リモートワーク」は決して働き方の最終形態ではなく、「労働者」という形態での働き方が限界に至るまでの「つなぎ」に過ぎないのではないかという危機感だったということをこの時期によって認識させられたのです。

大前氏は次のようにより具体的にこの危機の本質を突き付けます。

「社員にフルタイムで在宅勤務をさせるくらいなら、もっと能力のあるエキスパートに時間単位で業務を委託したほうがずっと仕事のパフォーマンスは高くなる。テレワークに加えて、AIやRPA(ソフトウェア型ロボットによる業務の自動化)が普及し始めているので、今後は正社員の採用を減らしてアウトソーシングを進める企業が増加していくに違いない。」

これはすなわち「サラリーマン(労働者)のいないビジネス社会の誕生」と言い換えられるかも知れません。

ただそうなると、まるで高度成長期以前のように「個人事業主」だらけになり、「大企業化しないと生産性が低下する」というデイビッド・アトキンソン氏の「主張」に真っ向から対立しそうです。

しかし、全てのビジネスパーソンに「高いスキル」と「経営マインド」が求められる一方で、今まで人材をコーディネートするためだけに存在していた間接部門はDXによって不要とされますので、組織の小ささからくる非効率性はほとんど生じなくなると思われます。

また、DXがビジネス主体の「分散」による非効率性を解消することで高いスキルと経営マインドをもつ「個人事業主」と「高生産性」が両立するいまだかつてない効率的なビジネス社会の出現を期待できるような気がします。

やはり私たちは、「労働者」という概念の枠内で「出社ワーク」か「リモートワーク」かの議論をしている場合ではありません。

 

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