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ロッテを創った男

2021年4月16日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

突然ですが、私はドンピシャのビックリマン世代です。

私が小学生だった時には、あまりの人気ぶりにシール裏の製造会社ロゴの「ロッテ」が「ロッチ」になった偽物まで出回るほどの状況でした。

最近コンビニでも扱われているのに気づき、とても懐かしく思い出されました。ところが、かつては一個30円だったのが今や100円近い金額になっているではないですか。

大卒初任給の金額が15%くらいしか伸びていない中での三倍以上の値上がりにびっくりです。

その「ロッテ」が実は日本人ではなく韓国人によって作られた会社であることなど小学生だった当時は全く知らず、大人になってはじめて知りました。

韓国から単身で日本に渡り、一代で日本の誰もが知る一流の企業を築き上げた後、韓国に凱旋して韓国でも財閥の一角をなす企業に育て上げた辛格浩こと重光武雄氏の人生について書かれた「ロッテを創った男 重光武雄論」を読みました。

彼が裸一貫で日本の地を踏んだのは戦前であり、今よりもずっと朝鮮半島出身者への差別がすさまじかった時代に企業を立ち上げ成長させるのは並大抵のことではなかったはずです。

それを可能にしたのはひとえに彼の「謙虚さ」と「誠実さ」なのだということが本書を読めば分かります。

以下にそれが分かる彼自身の言葉を引用します。

まずは一文無しで日本に渡った後、何度も日本の警察に国へ追い返されそうになりながらも何とか飛躍のきっかけとなった老人との出会いについての言及。

「偽りなく、誠実な人は信用を得られる。そう信じ、そうなるために努力した。世話になった花光老人の店でも真面目に働いた。彼には僕よりも年下の息子と娘がいたが、働いてから1~2か月たつと、彼は自分の息子より私を信じてなんでも任せようとした。」

「(成功した後、花光老人に金を返しに行ったら)爺さん涙ぐんで。『俺の選んだ男に間違いはなかった』って。そのころは本当に朝鮮人の差別があった。でも爺さんは僕を信用して全財産を賭けてくれた。」

続いて、彼の経済観念についてよく分かる「土地」に関する言及。

「私の主張は一言で言えば、土地売買利益について99%の課税をすべきということです。そうしてこそ、限定された土地を家や工場、オフィスのため必要な人だけが購入することになります。私は事業のために購入していた土地を売って得をしたことは一度もありません。」

これなどは、一見めちゃくちゃで経済の原則を逸脱したような考えのように思えますが、落ち着いて考えてみると、実はこれが富の公平性を実現するための本来あるべき形ではないかと考えなおさざるを得ない気もしてきます。

額に汗して生み出した富だけが「財産」であるという彼のような考えが正当化されれば、現在行き詰まりを見せている「資本主義」を延命させることにつながるかもしれません。

この「謙虚さ」と「誠実さ」、それから何よりも家族を大切にする彼が、後継者による相続争いの果てに自ら築いた会社から追放されただけでなく、国家から犯罪者として断罪されるという悲壮な最期を迎えなければならなかったことは何とも残念なことです。

 

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