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ワクチンと特効薬

2020年4月8日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

前回の記事では、細菌とウィルスの違いについて学び、ウィルスは生物と非生物の境界にいるような不思議な存在だということが分かりました。

今回は、「最低限必要な知識」の第二回目として新型コロナウィルスと戦う上で必要となる二つの武器、「ワクチン」と「特効薬」について学んでみたいと思います。

この新型コロナウィルスがなぜこのように恐ろしいのかと言えば、このウィルスが細菌と比べても人間から遠い存在であり、なおかつ「新型」であるがゆえに、このウィルスに対する武器である「ワクチン」も「特効薬」も存在していないからということに尽きるわけです。

「ワクチン【(独)Vakzin、(英) vaccine、つまり日本語のワクチンはドイツ語由来】」とは、感染を予防するために体内に病原体に対する抗体を作り免疫を獲得することを目的とする医薬品のことを指します。

そして、「特効薬」は、すでに感染してしまった場合に、その病気に対して特別に著しい効果を発揮する医薬品です。

こちらについては、現在のところ、中国での経験から「アビガン」というインフルエンザ治療薬が新型コロナウィルスにも「効果がある」との可能性が指摘されており、この薬に対する期待が高まっています。

今回は、この「ワクチン」と「アビガン(特効薬)」について分かりやすくまとめてみたいと思います。

まず、「ワクチン」は、あらかじめ病原体から作られた無毒化あるいは弱毒化された抗原のことをいい、これを投与することで、体内に抗体と呼ばれる病原体に対する攻撃者を獲得することを目的にしています。

種類としては大きく分けて「生ワクチン」、「不活化ワクチン」及び「トキソイド」の三つがあります。

生ワクチンは、「病原性を弱めたウイルスや細菌そのもの」でそれがまだ生きているので「生」と呼びます。

これは「病原性を弱めたもの」であるため、それが身体の中で徐々に増えるので、最終的に劇的な症状を出さずにその病気に自然にかかった状態とほぼ同じ免疫力を獲得することができるのです。

代表例として、「麻しん・風しん」「水痘(みずほうそう)」「BCG(結核)」「おたふくかぜ」があります。

不活化ワクチンは「病原性を無くした細菌やウイルスの一部」であり、死菌ワクチンとも呼ばれます。そのため、生ワクチンに比べて免疫力がつきにくいので、何回かに分けて接種することになります。

代表例として、「百日せき」「日本脳炎」「インフルエンザ」「A型肝炎」「B型肝炎」「肺炎球菌」があります。

トキソイドは、「細菌の産生する毒素(トキシン)を取り出し、免疫を作る能力は持っているが毒性は無い状態にしたもの」です。

代表例として、「ジフテリア」「破傷風」があります。

ちなみに、新型コロナウィルスのワクチンの完成まで少なくとも「1年半」かかるということで私たち素人は「なぜ?」とやきもきさせられるわけですが、その理由は、新しいワクチンを生産するということがワクチンに入れる病原体を人工的に大量に増やす方法を見つけることであり、この方法を見つけるのが非常に難しいからということのようです。

つづいて、「アビガン(特効薬)」について。

アビガンとは、富山大学医学部と富士フィルム富山化学が共同開発した抗インフルエンザ活性をもたらす医薬品の商品名で薬品名としては「ファビピラビル」といいます。

これは、細胞内におけるウイルスのRNA複製を妨ぐことで増殖を抑える仕組みなので、ウイルスが宿主細胞から別の細胞へと感染を広げる際に必要となる酵素を阻害するタミフルなどとは異なり、インフルエンザウイルスの種類に関係なく抗ウイルス作用が期待できるものです。

この「ウイルスの種類に関係なく抗ウイルス作用が期待できる」点が今回、新型コロナウィルスにも効果があるとされる原因かもしれません。

ただ、この薬は動物実験で胎児に奇形の発生がある可能性が指摘されたため、2014年に日本での製造販売が、新型インフルエンザが流行し他の薬剤が効かないと日本政府判断した場合に、厚生労働大臣の要請を受けて製造を開始するという条件が付いた特殊な承認となっています。

まさに、今回の状況はこの条件に当てはまるということでしょう。

いずれにしても、「ワクチン」の開発そして、「アビガン」の効果が予想通りのものであり、その安定供給が一日でも早く開始されることを祈りたいと思います。

 

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