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世間への挑戦状

2017年4月14日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

先日、うちの奥さんが子供たちのために買ってくる絵本でハッとさせられるようなものとして、「ルビィのぼうけん」という本をご紹介する記事を書きましたが、今回はその第二弾として、お笑い芸人のキングコングの西野さんの「えんとつ町のプペル」をご紹介します。

この本は書店でもアマゾンでも2160円で買うことができますが、実は無料で誰もが見ることができるのです。

無料閲覧のサイトは こちら です。

このサイトを見ていただければその素晴らしさをご理解いただけると思いますが、今回の記事でお伝えしたいのはこの絵本の内容についてではなく、彼が自らの作品を世の中に問う過程における姿勢についてです。

これは、まさに西野さんの「世間への挑戦状」に他ならないのですが、このようなことを実現するまでの西野さんに非常に興味を持ち、遅ればせながら彼のファンのブログ彼自身のブログなどからその軌跡をなぞりました。

彼は、お笑い芸人という非常にリスクの高い職種を選んでおきながら、その中でマーケティング思考を働かせ、自らを「差別化」することで、生き残ろうとしました。

まずは、その他大勢の芸人さんと同じ土俵では戦わないという選択をします。そして、選んだのが、「絵を描くこと」。

そうなると、今度は絵本のプロとも競争しなければならないことになります。そこで彼は、プロの絵本作家がとり得ない戦略をとります。それが、「時間をかけることと人手をかけること」。

絵本業界の常識では、一つ一つの作品から大きな収益を見込めないため、基本的には作家が一人で、しかも短期間で仕上げることが当たり前なので、結果クオリティは、そこそこに抑えられてしまうのが一般的なようです。

そこで、彼は、絵本製作に「数年という時間をかけ分業制にて創作活動を行う」という映画作りさながらな仕組みをとりいれました。ちなみに、この「えんとつ町のプペル」かかった時間は「4年半」、関わったイラストレーターは総勢33名とのこと。

そうなると、当然先立つものが必要となります。

彼は、それをクラウドファンディングという、実現したいプロジェクトを金銭的に応援してくれる人をインターネットによって広く募ることで実現につなげる方法をとって解決しました。

これらの動きを世の中の多くは「芸人のくせに」とか「どうせそんなことしても無理」と言ったような言葉で批判し続けたそうです。ただ同時に、クラウドファンディングによって資金調達に成功したことから、確実に応援してくれる人がいることも実感します。

そしてこの実感は、「自分が信じることを貫くことで夢は実現できる」という確信に変わります。

彼のブログを見てみると、その「敵」と「味方」の自らにとっての存在感があまりに強烈だったようで、敵に対してはちょっと引いてしまうぐらいの敵愾心を感じますし、味方については本当に真心を感じられます。

それが高じて、いわゆる「炎上」にまで発展したのが、冒頭で紹介した無料閲覧のサイトの公開事件です。

まず、彼の意図するところは、自分の作品をできるだけ多くの人に読んでもらいたいということ、また特に子供たちがお金のことを気にせずとも読めるようにするところです。

それに対し、批判的な意見としては、既にお金を出して購入した人に対する冒涜、そしてお金を出して買う人が少なくなることが予想されることから、制作にかかわる人たちの収入を確保することができない、ひいては絵本業界全体にまで影響が及ぶ危険があることなどです。

しかし、実際にはこの公開以降、このブログにあるように、この絵本の売り上げは下がるどころかますます伸びて、アマゾンの売り上げ第一位を記録していますし、制作にかかわる人たちの収入は、このブログにあるように、クラウドファンディングによって得た収益によって既に支払われているので、この批判はお門違いということになります。

このことについては、私は、西野さんは絵本業界というものをもう一段階上のレベルに押し上げるきっかけを作ったのではないかと思います。

それは、消費される価値から、資産として保存される価値への転換という意味です。

無料で公開したのに却ってお金を出して買う人が増えたということは、彼がクオリティーにこだわり、分業制や製作に長期間をかけることによって、従来なら物語のストーリーとその絵の価値が「消費」されて終わってしまったレベルから、作品としていつでも手元に置いておきたい「資産」としての価値を有するレベルのものを扱う業界になる可能性を見出したとも言えるかもしれません。

しかも、従来よりも多くの人の目に触れる機会を創出しながらです。

また一人、別の業界で興味深い人を見つけてしまいました。

 

 

 

 

 

 

 

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