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中国人が上司になる日

2020年7月26日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

以前からこのブログにおいてシリーズ的に日本人の中国もしくは中国人に対する評価が本来あるべき水準よりもかなり低いという問題について論じてきました。

例えば、こちらの記事をご参照ください。

中国人に対する評価を改めざるを得ない最も象徴的なシーンは何かと問われれば、自分の会社が突如中国資本の会社に買収された結果、「中国人が上司になる」シーンではないでしょうか。

上司が中国人になるほどではないですが、最近私の会社の別事業である不動産賃貸事業にて中国人の方がお客さんとなる機会があり、私自身、彼らに対する評価を改める必要性を大いに感じています。

その中国人のお客さんとのやり取りの中で感じる彼らのイメージというものを誤解を恐れずに表現すると、「とにかく決断が早い(少し雑だが)」につきます。

私の会社も決断の早さには自信がありますが、それとは比較にならないほど「早い」のです。

そこで、彼らのことをもっと知りたいと思い、「中国人が上司になる日」というそのものずばりのタイトルの本を読んでみることにしました。

本書では、私のこの実際の彼らの性質に対する感覚についてかなり具体的に言語化している部分があって、読んでいて「なるほど!」と膝を打つエピソードが非常に豊富でしたのでその中でも印象的なものをご紹介します。

◆ スピード第一主義

これは、私の個人的感想と全く同じことが書かれていました。

中国企業では不完全でもとにかく史上初のものを市場に出します。そして、ユーザーの声をかき集めそれらの声を聴き、どんどん改良していきます。

この改善のサイクルを大企業、中小企業問わず、どんどん回していくのです。

完璧な計画を立てても、絶対に完璧になることはないのに、稟議という名の責任回避の理由づくりにいつまでも時間をかける日本のスピード感と比べると、この点については絶対にこちらに軍配が上がるように思います。

◆ 起業第一主義

「会社勤めは他人のために能力使うこと」という意識が強いため、会社は仕事を覚え、次のステップに飛躍させてもらう勉強の場だという考えを持ちがちです。そのため、より良い条件を提示してくれる会社が見つかれば、迷わず転職します。

これは、日本でも職人さんの世界では当たり前かもしれません。

現在会社を経営している「親方」も元は勤め人だった可能性があるわけですから。

ただ、そうはいっても、ちょっとした条件の違いでコロコロ転職するのは、会社にとっても本人にとっても学びにつながらず、効率の良いことではないようには思います。

◆ 家族第一主義

であるならば、中国人には義理人情というものが全くないのかというと、そうではないようです。

中国人にとってプライオリティナンバーワンは、家族です。

極端な話、自分が会社において経営権を握れるか、それとも会社を追われるかという派閥抗争の真っ最中であっても、家族から緊急の相談事があると相談されれば、迷わず家族を優先するというのは何も不思議なことではないようです。

日本では、芸能人が親の死に目にも会えず、亡くなっても舞台公演を優先し、死後だいぶたってから対面したなどということが美談とされますが、中国人にとっては、「舞台が何ですか!私はそんな非人間的な人にはなりたくない」と考えるようです。

◆ 面子第一主義

中国人にとって一年で最も重要なイベントは春節(旧正月)です。

中国全土・海外に散らばっている中国人もこの時は故郷に戻り楽しい時間を過ごすのですが、その際に必ず行われるのは、面子の競い合いです。

親たちはいかに子供がいい大学にいっているか、いい仕事についているか、いい配偶者がいるか、親にいくら送金してくれているか、を競い合います。

子供たち自身も、その時期に行われるクラス会で同じように競い合います。

このように、面子が実際の生活よりも重要視されてしまうのです。そこには、誇張から虚偽に発展してそれがバレて面子が丸つぶれとなるケースもあり、何のためにこのような競争をするのか、私たち日本人にはほとんど理解できません。

ただし、面子の過度なる重視は中国人社会でも懸念され始めているようです。

面子を重視するあまり自分自身に損害を与えるばかりか、社会全体で見ても損失になることが多いことが明らかだからです。

最近では後輩社員に対して次のように警告する中国人上司もいるようです。

「仕事というのは経済的基礎である。面子はその基礎があって、その上で成立するものだ。面子の前にまずは仕事をしっかりなすことである。社会人として就職したら、まず最初に心がけることは頭を低くすることである。面子などというものは足で踏みつけるくらいの心が必要だ。」

こんな発言が、あえて取り上げられるほど中国人にとっては面子が重要なものであって、その発想の転換には困難を伴うようです。

このように見てくると、「中国・日本双方とも時代の変化に対して認識不足である」というのが、結論になりそうです。

世界中に時代を超えてネットワークを張り巡らせてきた華僑の人々は、この「時代の変化に対する認識」にもっとも精通していると思いますが、彼らの考え方を最後にご紹介して教訓としたいと思います。

「『先に計画ありきは失敗のもと』と考え、とにかくまず相手を観察する。計画ばかりを重視すると、相手の出方に即して臨機応変に対応を変えることができないからである。」

島国根性がどうしても抜けない私たち日本人は、いまこそ外国という地で根を張り、力強く生きる彼らを見習うべきだと思います。

 

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