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企業合併後の名前のお手本

2022年5月29日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

私は企業合併の後の名前の付け方にどうもセンスが感じられないケースが多いと思ってきました。

名前を出して恐縮ですが、例えば「三井銀行」と「住友銀行」の合併。

どちらも財閥系であり、新名称の決定にはどちらが主導権を握るのかという「絶対に負けられない戦い」があったことが容易に想像されますが、結果的に「三井住友銀行」になりました。

この「主導権争い」は完全な「三井」の勝利だったのかなと思いきや、英語表記では「Sumitomo Mitsui Banking Corporation」ともうなんだかよく分からないことになっています。(笑)

もっとすごいのが、「三菱銀行」「東京銀行」そして「UFJ銀行」が合併した結果できた「三菱東京UFJ銀行(現三菱UFJ銀行)」です。

これは、そもそも「三菱銀行」と「東京銀行」が合併して「東京三菱銀行」になり、その後「UFJ銀行」と合併して、東京と三菱がひっくり返って「三菱東京UFJ銀行」となったものです。

ただ、そもそも「UFJ( United Financial of Japan)銀行」は「三和銀行」と「東海銀行」が合併してできたものですので、その時はこの「単純な足し算」+「主導権争い」のパターンとは違ったのですが、ここでまたこのパターンに戻りました。

このような名称選択が、超一流企業の人たちが真剣に検討した結果であるということを考えると、大きなお世話ではありますが日本企業の創造性についてかなり心配になってしまいます。

ところが先日、書籍紹介ブログにてご紹介した「憤怒の英語道」の著者の経歴を調べている時にこの問題を絶妙なセンスで軽妙に解決した事例を発見してしまいました。

それは総合商社「双日」のケースです。

著者である松本道弘氏の出身企業は双日の前身の一つである「日商岩井」という企業です。

その日商岩井はももともとは「日商」と「岩井産業」とが合併してできた企業であり、その時点ではこの「単純な足し算」+「主導権争い」のパターンではありましたが、日商岩井としての合併の相手方は「ニチメン(日綿實業)」という企業でした。

この「日商岩井」と「日綿實業」はともに「日」を頭文字としており、双方の「日」をとって「双日」という名前となったというわけです。

この「双日」という名前には「平等性」と「力強さ」が両立しつつ、なによりも「統合性」が感じられ、これ以上ないセンスが感じられるのです。

今後の企業合併後の名前の選択の際には「単純な足し算」+「主導権争い」に走ることなく、シンプルでありながらも、二つの企業が縁あって一緒になることを象徴するようなものが主流になることを期待したいと思います。

 

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