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英語民間試験、利用大学5割どまり

2019年10月7日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

2020年の大学入試改革における英語民間試験導入に関するニュースを継続的にご紹介してきましたが、ついに各大学の民間試験の利用の有無が明らかにされました。

日経電子版の記事は以下のようなものでした。

「文部科学省は2019年10月4日、英語民間試験の成績を合否判定の材料や出願資格などに利用すると決めた大学が9月末時点で全体の5割の561校になったと発表した。試験会場などの公表の遅れや公平性確保への懸念などから利用をためらう大学が多いとみられる。同省は10月中旬までに利用大学を確定させる。」

この件に関しては、大学側、高校側、民間試験業者側、そして文科省側の各側の対応について逐次記事にしてきました。

そして、この度その利用者である大学側の対応がほぼ明らかになったというわけです。

タイトルには、「利用大学5割どまり」と書かれていますが、そもそもこの試験は大学入試センターの共通試験の補完のための試験であり、本来は国公立大学のための試験ですから、国立大学の94%、公立大学の78%が「利用を決定」したということで、数字だけを見ると文科省の思惑通りと見るべきかと思います。

しかし、実際にはその中にはすでに当ブログでご紹介したように、東京大学をはじめとする主要大学においては、民間試験受験を出願の条件とするが成績の評価には使用しないという本質的にはこの試験を否定していることに注目すべきです。

また、完全に「活用しない」としている北海道大と東北大の2校に対して、私はその教育機関としての矜持をたたえたいと強く思っています。

しかも、文科省はこの記事の中でも指摘されているように、

「各大学の決定を急がせ、受験生の不安を解消するために、9月末までに利用方針を示さなかった大学には成績を提供しないとした。10月11日までの猶予期間を設ける。」

という強迫じみた手法でこの結果を引き出しています。(詳しくはこちらの日経電子版の記事をご覧ください。)

利用の有無に関して結論に時間がかかっていた大学の多くは、民間試験の利用に関して少なからず問題があることを理由にその判断を下しきれずにいたはずです。

その状況の下で、文科省がその試験の本質的問題について何ら有効な説明もなしにペナルティーをちらつかせながら決定を急がせることは非常に大きな問題だと思います。

教育行政が脅しのような形で進められていることに関して、強い憤りを覚えます。

 

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