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創業者企業運営の弱点

2022年4月24日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

先日(2022年3月6日)、「永守流 経営とお金の原則」という本をご紹介して著者である日本電産の永守会長の経営者としてのすごみについてお伝えしました。

その中では、現在およそ2兆円の売上を2030年に10兆円にまでもっていくという中長期目標を達成するために、永守氏の後継者として日産自動車から引き抜いた関潤氏にCEOのポジションを譲るという決断をし、2021年度から新体制をスタートさせたという内容が書かれていました。

ところが、まさにその舌の根が乾かぬうちに、次のようなCEO交代のニュースが飛び込んできました。

「2022年4月21日、モーター大手日本電産の永守重信会長(77)が、再びCEO職に就任すると発表した。永守会長は2021年6月に、後継者として選んだ関潤社長にCEOの座を譲ったばかり。1年足らずで前言撤回となった。1973年に日本電産を創業した永守会長にとって、後継者選びは長年の課題だ。過去にも2人の後継者候補がそれぞれ社長・副社長を務めたものの、うまくいかなかった経緯がある。2020年に関社長を迎え入れた際は「三度目の正直」と永守会長が周囲に宣言していただけに、今回の復帰には、懸念の声も上がっている。」

このニュースがデジャヴではないかと感じられるのは、ファーストリテーリングの柳井正氏の玉塚元一社長の解任や、ソフトバンクのニケシュ・アローラ副社長の退任の件があるからかもしれません。

そしてそれらすべてに共通するのは、その解任又は退任が一般的には十分評価されるべき水準にあるように見えるのに、創業社長であるこの三人がまったく違う見方をしていることでなされているということです。

実際、今回の日本電産の業績について次のようなことが書かれている記事もあります。

「2022年3月期の日本電産の決算は、売上高も営業利益も過去最高を記録。ところが、永守会長が最も力を入れている車載事業は赤字。中でも、今後の成長源に据えた電気自動車用駆動モジュールが足を引っ張っていることが、永守会長には我慢がならなかったようだ。しかし、この電気自動車用駆動モジュールはEVのこれからの爆発的な発展を見据えて先行投資を永守会長の判断でしたところに、この世界的な半導体不足と資源高という外部要因が重なったということで、関社長以外の誰がやってもこれ以上の成果は上げられなかったはずだとみられている。」

つまり、永守会長の今回の判断は、いかなる外部要因があっても絶対に言い訳をせずに利益を確保し続ける能力が日本電産のCEOには求められるということであり、今回の件でそれを実現できるのは自分自身以外には見つけられないことが分かったということなのかもしれません。

ここまで強烈な能力の要求を衆人環視の下でもやってのけてしまうというのが、永守氏であり、孫氏であり、柳井氏ら創業者たちなのだということでしょう。

ここまでくると、彼らの飛びぬけ過ぎたこの能力こそが創業者企業運営の弱点と言えるような気がしてきました。

 

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