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世界で最も病床数が多い日本の医療が崩壊する本当の理由

2021年10月11日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

世界的なコロナウィルスのパンデミックにおいても最も死者数の少ない国の一つである日本でなぜこれだけの混乱を引き起こしてしまっているのかについて、最も多く指摘されてきた理由が「コロナ病床を十分に確保することができない」というものですが、日本は世界有数の医療体制を誇る医療先進国と言われ続けてきたはずであり、この理由に納得できる日本人は少ないはずです。

このブログでは、その現実の不可解さを説明する裏の理由として、「日本医師会の力が強すぎて、そのメンバーである医師がコロナ患者を受け入れたくないとなれば、国もその総意に逆らうことができないから」という理由も何度も取り上げてきました。

しかし、それを理由として挙げながら、ではなぜ彼らはそこまでして自分の病院にコロナ患者を受け入れることを拒もうとするのかという根本的な理由が良く分からない、というのが私の正直な感想であり、その点においてずっとモヤモヤを抱えてきました。

ところが、先日それを理由とするための前提状況を一言でストンと腹落ちするように説明してくれている動画に出会うことができました。

それがこちら。

この動画が一言で説明するその前提状況は、「病院の数が多すぎるから」です。

えっ!?「少ない」ではなく「多い」です。

それはこういうことです。

「日本は人口として倍以上のアメリカと比べても圧倒的に病院数が多いという事実があります。具体的にはアメリカが6000カ所であるのに対して日本は実に8300カ所の病院が存在しています。それに対して医師数はアメリカは87万人で日本は32万人です。この二つの数字の関係こそがその理由なのです。つまり、少ない医師数に多い病院数ということは、一つの病院あたりには当然医師が少数しか存在しえないということです。そうするとどうなるか。設備の充実が難しい、交代で働くことができないので土日祝日を開院することができない。などなど様々な問題が生じます。そうなると、新型コロナという対応が難しいウィルスに感染した患者を受け入れることに対して消極的にならざるを得ません。それならばなぜ、それぞれの医師が協力してある程度の規模の病院を作るインセンティブが働かないのか。それは、大きな病院のトップも小さな病院のトップもトップはトップであり、一国一城の主である方が何かとメリットが大きいため、医師の世界では他の産業に比べても病院の統廃合が圧倒的に進みにくい構造になっているからです。」

この理由を聞いて、思い出したことがあります。

何年か前の大晦日でしたが、親戚のおじさんが脳梗塞にかかってしまって救急車で病院に運ばれたのですが、お正月の三日間ただ寝かされて4日になってようやく医者による治療がはじまったことという理解しがたい出来事がありました。

その時はなぜ他の産業と同じように交代制で対応するなどできないのだろうと憤りを覚えましたが、この動画を見てその意味が良く分かりました。

つまり、これはコロナに特有の問題ではなく、日本の医療の仕組み自体の問題であって今までもそれが原因の不合理はたくさん起こっており、構造的な問題を指摘して修正するチャンスは日本国中であったはずなのです。

しかし、そのようなチャンスは、「大きな病院のトップも小さな病院のトップもトップはトップであり、一国一城の主である方が何かとメリットが大きい」などという本当に志の低い理由でつぶされ続けてきたということです。

残念ながら、この問題が修正されることはないままコロナという日本全体を巻き込むような危機を迎えてしまいました。

私たち日本人は、実際にこのような危機を体験してしまった以上、今度こそこの問題を国民全体の問題として解決する方向に動かなければならないと思います。