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反中亡国論

2021年8月17日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

先日、「中国経済の属国ニッポン」という本をご紹介して、中国がすでに多くの日本人が知っている中国ではなく、もはや今後日本がどう頑張っても追いつくことができない国になってしまっているという、私たちにとって非常に厳しい現実を目の当たりにしました。

しかし、それでも少なくない割合の日本人が、「中国は近い将来必ず崩壊する」という非常におせっかいな心配を公言するのをよく目にします。

彼らが主張するその理由は「共産党による一党独裁などこのグローバル時代に長く続くわけがない」というものであり、つまりは中国国内の政情不安によってその崩壊が起こるはずだというものです。

しかし、私ははそうではない見方をかなり前からしてきましたし、実際にその見方を前提に「中国に対する日本の低評価」に関する記事を何度も書いてきました。

ただし、そのような見方に確証があったわけではなく、今までの歴史の中で中国が築き上げてきたものの大きさを考えると中国の弱みは単純にここ100年ちょっとという短い例外的なものだと理解しているからとしか言いようがありませんでした。

ところが、「中国の国内事情」が「中国の崩壊」に結びつかないであろう論理的な理由になりうる言及を含んだ一冊を見つけました。

それは中国事情のコメンテーターとして有名なフリージャーナリスト富坂聰氏の「反中亡国論 日本が中国抜きでは生きていけない真の理由」です。

早速、その言及部分を以下に引用します。

「圧倒的多数の中国人が望んでいるのは『今日よりも明日はもっと豊かになる』ことであり中国の影響力が他国に及ぶことではない。そして、この中国人の望みをかなえている限り、中国共産党の統治が脅かされることもないのだ。かつて、アメリカのブッシュ元大統領が当時の胡錦涛国家主席に『あなたにとって、考え始めたら眠れないような怖いことは何ですか』と尋ねたら、胡錦涛はしばし考え込んだ後に『この国の民に仕事を与えられなくなったらどうしようかと、それを考え始めたら眠れなくなる』と答えたという。これは実に中国リーダーの思考を象徴するエピソードだ。」

その中で中国政府が出した答えが、前回紹介の「中国経済の属国ニッポン」で明らかにされた「脱米」であり「双循環」なのだということに改めて納得がいきました。

一方で中国を「独裁主義」であるとして批判し、「民主主義」であることで彼らよりも自分たちの方がずっと優れていると疑わない日本人は自分たちの政治体制について、著者は以下のように今一度点検するべきだと言います。

「冷静に損得を計算することが不得手な大衆を感情で煽り、政治家としての人気や得票に結びつけようとする行為は、最もインスタントに政治的利益を手に入れられる便利なツールだが、だとしても一度生じた不利益は、どこかで誰かが背負わなければならない。この貧乏くじを引くのはたいてい後の世代である。民主主義の持つ『負』の側面というべきだろう。」

コロナ禍でのまるでワイドショーが政治を動かしているかのような日本政府と大衆の混乱ぶりと、その結果払わなければならなくなった大きな犠牲を思うと、この著者の指摘は非常に重いと感じます。

これらの本を連続して読んできた中でつくづく思うのは、日本は中国を見下している間は決して経済成長を実現することはできないだろうなということです。

 

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