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吉野博士が説く自動車業界の未来

2021年4月19日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

先日(2019年4月16日)のNEWSPICSに非常に興味深い記事がありましたのでご紹介します。

その記事のタイトルは、「ノーベル賞受賞者吉野博士は『アップルカー』をこう予測する」です。

この記事における吉野博士の「アップルカー」についての予測を要約すると以下のようになるかと思います。

「重要なのはOSだということ。そこの覇権を握った企業が、未来の自動車の覇者になるでしょう。今のところそれはアップルかグーグルの二者択一でしょう。そして、自動車事業の核は、その特性をいかしたシェアリングサービスということになる。タクシーやレンタカーが無人化するのをイメージしたらいいと思います。配車すると、無人の車が自動運転で迎えに来てくれて、目的地まで運んでくれる。そんなシェアリング車両です。無人だから、営業所を作る必要もない。アップルカーはそこまで長い距離を走ることは想定されずにつくられ航続距離は、せいぜい150キロ〜200キロくらい。それでも充電が切れそうになったら、フル充電されている車が、勝手に近づいてきて、充電がなくなった車は、近くのステーションで充電を行い、次のオペレーションに向かう。私の試算では、こうしたシステムが確立できれば、個人の費用負担は自家用車を持つのに比べて7分の1で済みます。車が人を乗せて動いている時間は、全体の10%くらい。残りの90%は、コンセントに繋がれて、充電か放電をしているようになります。太陽光発電で電気を作りすぎてしまったら、車両のバッテリーが吸収する。逆に電力が足りなくなった時や夜間には、車から電力をまかなう。こうした車が増えれば、再生可能エネルギーも格段に使いやすくなるわけです。アップルはきっとそこまで考えていると思います。」

この吉野博士の説明にはものすごく説得力があり、かつ希望を持てる未来を描いてくれていると思いました。しかも、その未来をいつ来るか分からない夢物語にしておかず、次のような年限を切り、具体的な予測をしてくれています。

「僕のイメージでは、2025年には自動運転の車を、街でちらほら見かけるようになる。そして、そこから先が早い。2030年には全てとは言わずとも、自動運転のシェアリングが主流になっていく。この仕組みが一度世に出たら、そこからはあっという間でしょう。もう、ハイブリッドとEVのどちらがいいかといった論争すら、通り越してしまう。同時に、今主流になっている航続距離を重視したEVも当然、一部をのぞいて淘汰される。航続距離が長くても、意味がなくなってくるから。もう、人が運転することは趣味になっていく。自分だけの『自家用車』なんて、真空管のスピーカーのようなマニアだけのものなっていく。」

とは言え、私たちはどうしても世の中の表面的な流れに惑わされがちですが、実はこのインタビューの冒頭に次のような厳しい指摘がありました。

「EVの議論をする前に、まずは電源を考えなきゃいかんよね。今、日本の電力の約8割は、化石燃料でまかなっている。発電所でCO2を大量に出している状況です。その状態でEVだけ増やしたとしても、意味はないよね。」

このように、吉野博士は私たちのそのような本質を外した議論をしがちなところにしっかりと釘を刺してくれています。

しかし、上記インタビューの中にあるように、天候次第で発電量が左右されてしまい現時点では使い物にならないと思われている太陽光発電も、一度バッテリーを積んだEVが世の中にあふれるようになっていけば、太陽が出ている時に発電したものをそのバッテリーにため込むことができることで、十分信頼のおける電源になるということを示して、私たちに希望を持たせてくれています。

一つ一つの技術は、それだけで大きな問題を解決することはできないかもしれませんが、それぞれが洗練されて世の中に受け入れられていると、お互いが化学反応を起こすようにして、大きな問題の解決に近づいていく。

そんな科学技術の素晴らしさを垣間見せてくれるような記事でした。

 

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