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国の借金と個人の借金

2020年6月29日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

先日(2020年6月12日)、コロナ対策に関わる第二次補正予算も国会を通過し、第1次で約26兆円、第2次で約32兆円という今まで見たこともない様な莫大な財政出動が実行されることとなりました。

今までも日本の財政は世界最悪レベルに悪化しているといわれ続け、実際に2019年度末での債務残高(借金)は約1250兆円ということで、この時点ですら個人に当てはめてみると。月収30万円の家計が約6430万円の借金をしている状態でした。

しかしながら、多くの識者がその考え方は短絡的で実際はそうではないとする理論を展開されています。

よく言われる「日本の借金は日本人がほぼすべて持っているから絶対に破綻しない」という論理です。

しかし、素人ながら私は次のように考えて、それはおかしいのではないかと思ってきました。

「日本は借金を日本人にのみしているということは、ある個人が親戚にのみ借金をしているということ」

でも、よく考えてみれば、その親戚にだって自分の生活があるわけで、強硬に返済を求めることも考えられますし、またはその債権(貸付金)を別の人に安くてもいいから売ってしまう権利だってあるはずです。

どちらが正しいのか、この問題について分かりやすく筋の通った解説をしてくれるソースはないかと探していましたら、ニュースピックスに非常に良い記事がありましたのでご紹介します。

確かにこの記事を見ると以下のような説明があり、日本の財政はギリシャなど過去に破たんした国家とは性質が違う部分があるようです。

「EUなどと異なり自国に通貨発行権のある日本では、極端な話、国会の議決があれば借金返済のお金が無くても、日本銀行が政府から国債を直接購入し、お金を刷ってしまえば良いという仕組みになっている。また、『日本は財政破綻しない』とする論はこれを根拠としている。」

これはすなわち、冒頭にあげた「日本の借金は日本人がほぼすべて持っているから絶対に破綻しない」という説を具体的に説明したものです。

ただし、本記事では次のように続きのシナリオをあげています。

「しかし、世の中はそれほど甘くはありません。まず国は世の中のある所から取り上げてその穴埋めをすることになります。国民が所有する現金・預金・不動産などへの資産税です。実際に、戦後の日本では最低税率は25%で、1500万円超えの財産には90%も課税されました。これにより、華族などの富裕層の資産はほぼ全て没収されることになりました。それでも穴埋めしきれない分について日銀が国債を全て引き受けることになります。その分、大量のお金が発行されるわけですから、日本円の価値は下がり物価が高騰します。」

そうなれば、多くの日本円建ての資産を大量に持っている人は、そのような予感を察知した段階で安全と思われる例えばドル建て、ユーロ建ての資産に乗り換え、その資産をもって日本を捨てて海外に逃れていくことが考えられます。

つまり、冒頭の例のように「(お金持ちの)親戚のおじさんおばさん」にとっても同じことで、カネの切れ目は縁の切れ目という諺の通りとなるでしょう。

このように、最終的に日銀が国債を買ってしまえば、法律上は破たんしなくてすむわけですが、「日本円の価値は下がり物価が高騰する」ことで国民生活は実質的に破たんすることになります。

つまり、冒頭の議論は、財政破綻の定義を法律の上で考えるのか、実際の状態で考えるのかの違いにすぎないということが分かります。

この記事では私たちに次のような非常に重要な常識的なメッセージを伝えてくれています。

「経済学の重要なメッセージは『ノー・フリーランチ(ただ飯はない)』。国民負担なしで財政再建が完了することはあり得ません。」

このコロナの苦境を乗り切るため、今回の大規模財政出動は一部の分配に関わる非合理的な問題はあれど避けては通れないものであることは理解しています。

ただ、2019年度末の債務残高を1250兆円というレベルにまで積み上げてしまったという事実を政治家だけでなく、私たち国民も自分自身の責任として捉えなおす必要があるはずです。

人間の実感として「ただ飯はない」ことが分かっているのですから。

 

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