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外資系ネット企業と納税

2020年2月10日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

アマゾンの台頭によって小売りの形が大きく変わったことは間違いありません。

それによって、立ち行かなくなってしまった企業は中小のみならず大企業を含め少なくありません。

それはもちろん、消費者の選択ですから彼らがアマゾンを恨むのは筋違いでしょう。

しかしながら、彼らから利益を奪いながら大きなシェアを獲得したにもかかわらず、日本における「納税」をしていないとなれば、彼らのみならず日本国民全体として不公平感を感じるのは当然のことです。

実は今まで、そのような日本国民として納得できないことが当たり前のように行われていて、ようやく子の歪みに修正が入るという特集記事を読みました。

「日経新聞が年末に、アマゾンジャパンが法人税の納税額を大幅に増加させたと報じた。グーグルやフェイスブックの日本法人もこれに続くと伝えており、米国のデジタル・プラットフォーマーの納税に対する考えの変化が浮き彫りになった。」

ここで引用されている日経新聞の記事がこちらです。

「アマゾンは以前は日本事業の収益を米国などで計上して納税額を抑えたが、事業を日本法人中心に改めた。グーグルやフェイスブックも世界各地で対応を進める。デジタル経済に合わせた課税ルールの議論が進むなかで、IT大手自身も対応を急いでいる。関係者によると、アマゾンの日本法人は17年12月期と18年12月期に、それぞれ約150億円の法人税を納付した。日本法人は情報開示が少ない合同会社に移行したため納税額の推移は分からないが、株式会社だった14年12月期の決算公告によると当時の日本法人2社合計で約11億円だった。アマゾンの日本事業の売上高は14年の約8600億円から18年に約1兆5000億円と7割増えた一方、納税額は10倍超になった。日本企業の納税額と比べるとローソン(19年2月期で143億円)などが近い。アマゾンの納税額が急増したのは、日本のネット通販事業の契約主体を米本社から日本法人に変更したためだ。以前は日本法人は米本社の補助的な業務を担当しているとされ、計上する収益も小さかった。日本事業を日本法人が直接担当することで、課税対象の収益が増えたとみられる。」

冒頭の特集記事では、この変化には二つの理由があると言っています。

一つは、「国際的なデジタル課税の議論の盛り上がり」です。

従来は、デジタル経済において収益の源泉となるデータやブランドのような無形資産は海外に存在し、実際の消費者の所在する場所では補助的な業務しかしていないという論理で運営されてきました。

実際、日本の国税当局は09年にアマゾンに対し、経営実体があるにもかかわらず、申告額が過少として約140億円の追徴課税を求めましたが、追徴課税を不服としたアマゾンは、政府間の日米租税協議に持ち込み、交渉の結果、日本の主張は退けられました。

しかしながら、富裕層やグローバル企業の租税回避の実態が明らかになった「パナマ文書」問題などをきっかけに、世界的な議論が再燃し、特に欧州では適正な税負担をしていないとして批判が強まったことから、年内にも主要国でデジタル課税案の枠組みについて大筋合意がなされる見込みです。

日本も遅ればせながら圧力を強め出した国税当局の動きを見つつ、といったところのようです。

そして、もう一つは「日本市場の一段の開拓」です。

現在の日本では、医療機器販売など一部の製品が規制上、契約主体が外国法人のままではできない業務があり、そうした制約を解消する意図や、今後巨大な市場となる行政向けのクラウドサービスの入札でも自らを有利にする意図が考えられるようです。

つまりは、事前に日本市場での評価を高めておこうという判断でしょう。

今後、世界経済のデジタル化は加速的に進み、あらゆる分野がこの問題と無関係でいられなくなるはずです。

そうなれば、今後は税率決定の仕組みとしても、少なくとも法人税率等についてはどの国もほぼ変わらないという同一事業同一税率という世界共通税率とならざるを得ないような気がします。

 

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