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孔子学院とブリティッシュカウンシル

2021年6月7日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

先日(2021年5月31日)の読売新聞の記事に外国語の教授を生業にする私にとっては非常に興味深いニュースがありましたので以下その要約をご紹介します。

「政府は、中国政府が出資し、日本国内の大学に開設している『孔子学院』の透明性確保に乗り出す。孔子学院を巡っては、中国の対外世論工作を担っているとの懸念があり、政府は各大学に情報公開を促し、動向を注視する考えだ。」

「孔子学院」という名前をはじめて聞いた方もいらっしゃる方もいると思いますので、まずはこちらについてのウィキペディアの説明を引用します。

「孔子の名を冠しているが、儒学教育機関ではなく、中国語語学教育機関である。その目的は主に、海外で中国語と中国文化を教えることである。中国語を教えるほかに、漢方医学や中国史、文化、社会、武道、演劇、生け花などをも教える。現代の話題を取り上げることもある」

その意味で、日本ではかなり知名度のある「ブリティッシュカウンシル」の中国語版だと言えそうです。

ちなみに、ブリティッシュカウンシルの説明はこちら

「1934年に設立された英国の非営利団体で、イギリス政府により設立された公的な国際文化交流機関であり、各国における英語の普及やイギリスと諸外国の間の教育・文化交流を目的としている。」

現在、英語が「世界共通語」に最も近い言語になっているのは、かつて英国が「日の沈まない帝国」と呼ばれたように世界中にその植民地を展開し得たことに端を発するというのは疑いようのない事実だと思います。

なぜなら、効率的効果的な植民地経営のためには、現地の人間を自在に動かす必要があり、英国は英語をその支配の道具として積極的に活用するためにその地の公用語としたからです。

ただ、英語という言語が世界に広まる勢いは、英国が植民地を手放した後も衰えるどころかむしろ加速しており、今もその加速度は高まる一方のように思えます。

その理由は、英国に代わって世界の覇権を握った米国の影響力もあるのですが、実はこのブリティッシュカウンシルによる言語政策が大きく貢献しているというのももう一つの理由と言われます。

したがって、これから世界の覇権を握ろうとしている中国も中国語を英語に次ぐ、いや英語を超える「世界共通語」にすべく、このブリティッシュカウンシルに習って、孔子学院を展開しているというわけです。

その目的も手法も実は変わらないはずなのですが、なぜか孔子学院はこのように叩かれ、ブリティッシュカウンシルは叩かれもせず、むしろ「ありがた」がられることについて、中国政府はどのように考えているのか非常に興味が湧くところです。

 

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