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「強父論」を読んで

2017年3月17日 CATEGORY - 代表ブログ

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皆さん、こんにちは。

作家の故阿川弘之氏の娘さんで、マルチタレントの阿川佐和子さんが、父上との思い出をつづった「強父論」を読みました。

この本は、そのタイトルにある通り、娘である佐和子さんを通した父弘之氏の「強父ぶり」がこれでもかというくらいに書かれています。

どのくらいかというと、佐和子さんの言葉を借りれば、「お父ちゃんがいかに無茶苦茶な人であったか」「周囲がどれほどひどい目にあわされたか」を精魂込めて書いたということです。

実は、うちの父も、そしてうちの女房から言わせれば私も、阿川家の「強父」なんてかわいいものだと思えるとのことで、世間的に本書の内容は「こんな父親が存在したんだ」と話題になるのでしょうが、我が家では当たり前すぎてネタにならないそうです。(笑)

ですが、そんな私にもこの件については言いたいことがあります。

それは、「身内に厳しい」ことは、「愛情の表れ」であるということです!

本書の中にも、阿川さんの父上の言葉として、「親愛の情、敬愛の念、これらの言葉は使う。しかし、愛情となると忽ち抵抗が生じる。特に親子の間の愛情、夫婦間の愛情、苦手だね。昔、何が原因だったか、我が家で夫婦大論戦が起こって、お前のかあさんが、『要するに、私に対する愛情なんてものは持ってらっしゃらないのね』と泣き喚きながら言うから、『ああ、そんなものは持ち合わせていない』と答え、あとあとまで大不興を蒙った。」というものがありました。

不興を蒙ることを覚悟で言いますが、この阿川さんの父上の気持ちものすごくよくわかるのです。

私は、アメリカでのホームステイの経験がありますので、あちらさんの様子もよく分かっているつもりです。アメリカでは、夫婦間や親子間で毎日のように「愛情」に関するありとあらゆる言葉をかけあうのが当たり前です。

ですから、私は、「あなた方の愛情は、口に出さなければ分かってもらえないレベルのものですか?」と心の中でつぶやく、ものすごくひねくれた留学生でした。(笑)

日本ではと言ったら語弊があると思いますので、私のうちではとさせていただきますが、「大切に思っている間柄であればあるほど、コミュニケーションの濃度が低くなる」また、逆に、「関係が薄くなればなるほど、コミュニケーションの濃度が高くなる」という法則が成り立っていました。

そんな家庭で育ちましたので、留学したての頃の居心地の悪いことと言ったらありませんでした。(笑)

そして、私としてはこの法則を自分なりに肯定的に理解していましたから、私たちのいわゆる「愛情」がホストファミリーのそれに劣っているということを感じることはありませんでした。

それは、自分はこれほどまでに「家族」というものを大切に思っているということを、口に出してしまったら意味がない、そこんところ「分かってくれよ」という気持ちが強いということなのかもしれません。

もちろん、相手方からすればそれは「甘えでしかない」と言われればそれまでです。

ですが、本書において阿川佐和子さんが最後に述べられた以下の言葉を糧に、女房や子供たちに甘えさせていただければと思いました。

「とは言え、父の嫌な印象が少しずつ薄れ、たまには親孝行しなければと殊勝な気持ちで親の家に帰る。するとたちまち波乱が起こる。その繰り返しはある意味で父が死ぬまで続いた。」

一冊丸ごと、父上に対する恨み節、悪口のようでいて、そこに確かな「温かさ」を感じた時、私はかすかな希望を見出した様な気がしました。

 

 

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