「感動がない」ことのすごさ
2020年12月14日 CATEGORY - 代表ブログ
皆さん、こんにちは。
先日(2020年12月6日)、「はやぶさ2)」が小惑星リュウグウの試料が入ったとみられるカプセルを携えて地球に帰還しました。(リュウグウへのタッチダウンの記事はこちら)
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初代「はやぶさ」については非常に多くのトラブルに見舞われ、それをギリギリのところでなんとかクリアして帰還したというドラマティックさもあって、日本中が本当に興奮しました。
前回の「はやぶさ」と今回の「はやぶさ2」の両ミッションには以下のような違いがありました。
「いずれも小惑星まで赴き、その砂やチリのサンプルを採取して、地球に持ち帰ってくるというミッションは同じです。ただ、はやぶさ2は、重さ2キロの銅の塊を秒速2キロの速度で小惑星表面に打ち込み、直径数メートルの人工クレーターを生成し、そこに着陸して物質を採取することにも挑みました。つまり、表面だけでなく地下にある物質まで持ち帰るのが大きな違いです。また、初代はやぶさのように大気圏に突入して燃え尽きることもなく現在も宇宙空間に存在しています。(もともと初代も突入させる予定はなかったが、故障のため仕方なく大気圏に突入させた)」
このように、「はやぶさ2」のミッションはその初代のそれと比べて格段にレベルの高いものですが、それらの予定を最後までほぼ確実にこなしてミッションを完遂しました。
しかし、と言うべきか、だからこそと言うべきか、私も含め前回と比べると日本国民の興奮の大きさはそれほどでもなかったように思います。
ただ、それこそが日本の科学技術の進歩をむしろ証明しているように思います。
初代「はやぶさ」では図らずもはやぶさ本体ごと大気圏に突入させざるを得なかったのですが、その進歩によって今回「はやぶさ2」は完全にコントロールされ、現在も宇宙空間に存在しています。
今後、地球の近傍にいる間に地球・月をカメラや各種観測装置で観測し、観測装置の較正などに役立て、将来的には再び別の小惑星への旅も期待されているようです。
これらは、当初の目的をすべて果たした後、すなわち減価償却がすべて済んでしまった上での期待ですので、ここからの成果ははっきり言って丸儲けであり、よりリスクの高い冒険的な使用も期待できるかもしれません。
様々なトラブルに見舞われながらも、初代「はやぶさ」を最終的に満身創痍ながら帰還させた経験をすべて反映させることで、今回「当たり前」のように予定通りにミッションを完遂させた日本のはやぶさチームに最高の敬意を表したいと思います。
「感動のない」ことのすごさに心から感動させられた素晴らしいニュースでした。