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数が多いからこそ記憶できる

2018年11月14日 CATEGORY - 代表ブログ

英単語ピーナッツほどおいしいものはない」シリーズの銅メダルコース、銀メダルコース、そして金メダルコースの三つからそれぞれテーマをいただいて書いていますが、第二回目の今回は銀メダルコースです。

私は本書を紹介する書籍紹介ブログの記事の中で以下のような表現をしました。

「関係性を含めて覚えるということは、単純に記憶する量が増えて大変だということではなく、むしろ記憶する際の『ひっかかり』として機能し、記憶を助けることにつながるのです。」

とはいうものの、この表現だけでは、「単語はシンプルに覚えたい」と思っている大多数の英語学習者の賛同を得るには不十分ではないかという思いを強くしたのも事実です。

本書の中にこの部分について非常に分かりやすく体感的に理解ができるように説明しているコラムがありましたので、自分自身の納得のためにも、以下にその部分を引用します。

「(最もシンプルな)1単語1訳語の盲目的信者が仮にwearという動詞を覚えようとするときどうやるか、『wear=着ている』もうこれ一本槍でくっつけようとするよね。では、それと正反対のことをやってみよう。『(背広)を着ている』『(帽子)をかぶっている』『(かつら)をつけている』『(ひげ)を生やしている』『(マスク)をつけている』『(眼鏡)をかけている』『(コンタクトレンズ)を入れている』『(ネクタイ)をしめている』『(手袋)をはめている』『(指輪)をしている』『(ベルト)をしている』『(日本刀)をさしている』『(靴下)をはいている』『(入歯)をはめている』、、、wearという一つの英単語をたくさんの日本語が取り囲んだね。そしたらしばらくじっと、楽な気持ちで眺めてみる。どうだ、wearとはいくつかの日本語訳の隙間にwearの本当の意味が立ちのぼってきたろう。それがネイティブが感じている意味だ。そう、そのとおり。英語では体に身に付けるものはすべてwearである。そこまでわかれば、英作文でも使える。ところでどうしてわかったんだ?『wear=着ている』の1単語1語訳でか?違うね。日本語訳がたくさんあったから分かったんだ。数や量を少なくすれば、無駄が省けるなんて単純なものではないんだ。」

また、著者の教え子たちによる別のコラムからも、次の一節を引用します。

「(先生の言う通りにコロケーションを大切に単語を記憶しようとしていると)必ず何人か、『長文では単語の意味さえ分かればいいんだから、スペリングを覚える必要はない』なんて水を差す人がいます。僕も最初はグラッと来たけど、そのうち聞き流せるようになった。だって、僕にそんな風に言う人が実際にやっていることと言ったら、『responsible=責任のある』ですからね。先生にそのことを話したら次のようにおっしゃった。『形を離れて意味なんかないよ。形とはスペリングだよ。』」

これは、本書の前にご紹介した「英単語の語源図鑑」で指摘した「漢字学習」的記憶法にも通じることだと思います。

「形」、これはすなわち「語源」と言い換えてもいいはずです。

ですから、ここでいう「スペリングを覚える」というのはスペリングをただやみくもに記憶するという感覚ではなく、語源を意識しながら記憶することで、その語彙に含まれている形が自然と浮かび上がってくるような感覚。

すなわち、むしろスペリングによって記憶が助けられるということを意味されているのではないでしょうか。

これも、「数が多いからこそ記憶できる」の証拠と言えると思います。