新型コロナと巨大地震
2021年9月27日 CATEGORY - 代表ブログ
皆さん、こんにちは。
先日(2021年9月12日)、NHKスペシャル「MEGAQUAKE(巨大地震2021」を見ました。
実はこの番組は2010年1月10日に初めて放送され、その中で東北において科学者による1000年前の大津波の痕跡の調査結果から東北沖で超巨大地震がいつとは限定できないが起きる可能性があると伝えていました。
それから一年と二か月、2011年3月11日に東日本大震災が発生しています。
このことがきっかけとなってこの番組は10年を超える不定期シリーズとなって、毎回科学者の努力による巨大地震発生のメカニズムおよび予測について最新の成果を紹介しつづけてきました。
今回取り上げられたのは、地震の前兆を科学的にとらえる技術の進歩とその社会への実装についてです。
具体的には、
東日本大震災の発災二日前の2011年3月9日にM7.3の地震が宮城県沖に起きており、それが実は「前兆」であるかもしれないという「可能性」を認識していた研究者が、その確証を持ちえなかったがゆえに、何ら警鐘を社会にならすことができなかったという悔しさをばねにした研究。
また、「スロースリップ」というプレート同士が強くくっつきあった固着域の周辺で、陸側のプレートの一部が、ゆっくりと静かにずれ動き、人が揺れを感じる地震は生じないが確実にひずみはたまっていく現象の研究。
それ以外にも巨大地震発生の直前に宇宙空間と地球の間の電離層という空間の電子の密度が急激に高まるという現象をとらえる研究。
このように、東日本大震災から10年を経て、地震予知の精度がかつてと比べてかなり高まってきたことから、これから30年間に発生する確率が70~80%とされる「南海トラフ地震」に関しては、気象庁は、通常よりも巨大地震の発生確率が高くなったと判断した場合、「臨時情報」を発表し、一般市民に「準備」呼び掛ける仕組みを構築しました。
これは地震大国日本がずっと望んできた「予知」の制度化への第一歩だと歓迎されるべきことだと思います。
ただ、私はこの仕組みの解説の最後に解説員が発した次の言葉が非常に印象に残りました。
「いつ起きるか分からない巨大地震に備えることは新型コロナウィルスへの対応に似たところがあります。」
というのも、「臨時情報」が本当に本震の「直前」にとらえられればいいのですが、いかに東日本大震災後10年で予知技術が飛躍的に向上したとしても、自然相手の「直前」というのは「数日~数年」という幅ができてしまうことは想像に難くありません。
その幅の中で社会活動の制限を加えることは、地震の「被害」とその「準備」による経済へのダメージのバランスの問題になることは、私たちは今回のコロナ禍で嫌と言うほど思い知らされましたからです。
新型コロナと巨大地震。
私たちは本当にリスクの高い時代に生きていることを痛感させられる番組でした。