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「日本人は農耕民族で西欧人は狩猟民族」はウソ

2021年8月25日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

前回より、以前ご紹介した人類の至宝と呼ばれる「銃・病原菌・鉄」よりいくつかテーマをいただいて書いていこうと思いますが、第二回目のテーマは「日本人は農耕民族で西欧人は狩猟民族」という固定概念についてです。

固定概念だと私が書いたように、このことは日本ではいたって当たり前のこととして冒頭の画像のような固定的なイメージとともに様々な議論の前提条件として使われたりします。

ところが、本書を読み進めていくと、そのことが全くのでたらめだということが明白になっていきました。

というのも、前回の「日本の農耕開始が遅れた理由」でも明らかになったように、日本は「農耕」を開始するのが極端に遅れたむしろ農耕後進地域の代表例として紹介されているからです。

しかも、日本人はそれを「意図的」「選択的」に遅らせたのでした。

ですから、私たち日本人は「農耕民族」どころか、世界でも最も長く「狩猟民族」としての性格を有し続けた民族の一つであるということになります。

一方で、ヨーロッパにおける農耕文化の開始は5000~8000年前とされ、紀元前5400年ころには中央ヨーロッパにおいて大麦、小麦、豆類を栽培したり、犬、羊、牛、豚などを飼育していたことが考古学的に明らかになっています。

すなわち、日本人よりもヨーロッパ人の方が、「農耕民族」として少なくとも2000年も先輩だということになります。

それではなぜ日本人は、「農耕民族」として2000年も先輩であるヨーロッパ人を「狩猟民族」と認識し、逆に世界で最も後発である自らを「農耕民族」と自認してしまうようになったのでしょうか。

そのことに触れているブログ記事を探しましたら、二つの記事( )に行き当たりました。

そのうちの一つにその理由とすべき推論が披露されていましたのでご紹介します。

「西洋人に対する体格的な劣等感が屈折して、農耕民族・狩猟民族二元論に開き直ったというのが私の見立て。二元論は単純ゆえにわかりやすいから説得力があるし、この場合はなんとなく遺伝という科学的根拠があるように思えるから信じ込みやすい。というか救いを求めたのかな。それに肉を食べている西洋人を狩猟民族、米を食べている日本人を農耕民族と勘違いしている人も多そうだ。もちろんそんな分類はまったく非論理・非科学的。」

いやはや、ごもっともな推論だと思いました。

加えて、「肉を食べている西洋人を狩猟民族、米を食べている日本人を農耕民族」との指摘は、まさに「太った人を見たらお相撲さんだといっているのと同じ」ということで何とも厳しいご指摘でした。

このご指摘を受け、これからは二度とこの固定概念を議論の前提条件として使うまいと心に決めました。

 

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