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本当の現地化とは

2017年6月25日 CATEGORY - 代表ブログ

アフリカビジネス

皆さん、こんにちは。

日本には本当にすごい若者がいるものです。

アフリカで起業し、50社を経営し、数百億円の売り上げをあげている35歳、金城拓真氏の「『世界』で働く。」を読みました。

私も、フィリピンとのビジネスで国際ビジネスの大変さは少しは分かっているつもりです。私の場合は、現地法人を持たずにやり取りだけなのにもかかわらず大変なことが多いのに、それを現地に50社もの会社を持ち、それらを成功させているということは並大抵の実績ではないわけで、非常に興味をもって読み進めました。

本書を読んで一番に感じたことは、彼は本当の意味での「現地化」を実現されたがゆえに、ここまでの成功を手に入れることができたのだということでした。

そもそも、ここまでの成功をただの運の良さだけで手に入れることなどありえないということは分かっていましたが、想像以上に彼の努力に裏打ちされた「実力」を見せつけられた気がしました。

日本人がアフリカで会社を立ち上げてビジネスをするためには、現地の人を雇って、彼らに仕事をしてもらわなければなりません。それは、「現地人同士でしか開かない扉」があるからです。

海外でのビジネスにおける最大のリスクは現地人に裏切られたり、だまされたりすることです。このことは、私もフィリピンとのビジネスの中でよく理解できます。本当に信頼できる現地人がスタッフとして協力してくれていれば、このリスクは圧倒的に下がりますし、本当にスムーズなビジネスが可能となります。

ここまでが通常、「現地化」と言われる仕組みだと思います。

彼が素晴らしいのは、上記の意味での「現地化」に満足しなかったという点です。というのも、「現地人同士でしか開かない扉」を開くだけでビジネスは大きくならず、「現地人同士では開かない扉」の存在も自覚しなければならないということにまであの若さで気づかれたことです。

当然のことながら、日本は、アフリカとは比べ物にならない先進国で、日本人はアフリカ人よりもはるかに高い基礎教育を受けており、多くの情報を持っているわけです。単純なことですが、アフリカ人だけで成功するのであれば、とっくにアフリカは先進国になっているはずですが、現実としてそうなっていません。

であるならば、日本人は、「現地人同士でしか開かない扉」があることを自覚した上で、現地人の頭の中を理解し、彼らの一歩も二歩も前に進んだことを言ったりやったりすることも重要だということを彼はしっかり自覚し、その通り実行しました。

この二つの扉のバランスを意識しながらビジネスを進めていく中では、当たり前のように次々と問題が起こります。彼は、そのすべてに対して、解決策を導き出す努力をし、結果的に自分を含めたその件に関わる全ての人間が最大公約数的に納得のいく理屈をその策の全てに伴わせています。

次の言葉が非常に印象的でした。

「どんなに考えても予想外のことが起こるのが途上国。それはビジネスにおいても、人間関係においても、雇用に関しても一緒。問題をなくせるかどうかよりも問題が飽きたときに解決できるかどうかが大切」

そもそも、資本主義は問題を解決してお金が発生するシステムなのだから、問題をが起こることを恐れる道理はないということです。

このことをやり切ったものだけが、ビジネスにおいて成功することができるわけで、彼がそれやり切ったという事実がこれらの言葉をとてつもなく重くしている理由だと思いました。