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業界破壊企業

2020年6月8日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

皆さんは、「デス・バイ・アマゾン」という言葉を聞いたことがありますか?

私は今回ご紹介する「業界破壊企業」という本を読んで初めて知りましたが、非常に恐ろしい言葉です。直訳すれば「アマゾンによる死」です。

アマゾンの事業拡大によって、死(倒産)に追い込まれる企業、業界のことを意味します。

本書では、この言葉に代表される「業界」を破壊し、既存の企業やその業界自体をも破壊してしまう可能性を持つ世界の「業界破壊企業」の中からインパクトの強い企業をピックアップして、その事業の仕組みや存在意義について分析をしています。

その上で、「業界破壊企業」のタイプを大きく、「プラットフォーム型」、「ビジネスモデル型」そして「テクノロジー型」の三つに分けられるとしていますが、私は冒頭写真にある「ウーバー」のようなプラットフォーム型に興味をそそられますので、この記事ではそちらについて書いてみたいと思います。

プラットフォーム型とは、サービスの「提供者」と「消費者」のマッチングの場を提供する企業の形を言います。「車を所有しているが使用していないときに輸送サービスを提供したい人」と「安価な乗車サービスを欲している人」とをマッチングするウーバーはその典型です。

つまり、その二つが出会う場所を提供こそが、「プラットフォーム」の本質であり、そのビジネスの強さの根源です。

ただ、この強い「プラットフォーム型」ビジネスにも二つの大きな課題が存在していると著者は言います。

まず、ひとつ目の課題は、サービスが安定的に立ち上がるまでの間、「需要サイド」と「供給サイド」のバランスをとってビジネスを維持することが非常に難しいということです。

なぜなら、需要は供給がなければ集まらないし、供給は需要がなければ実現できないという「鶏と卵」問題を抱えてしまうためです。

このバランスを解決する方法として、本書では「リーンスタートアップ」という考え方を次のような実例で紹介されていましたのでその一部を引用します。

「『トラック輸送のマッチング』であれば、とにかくまずはすぐに無料で運用できるウェブサイトを作り、メールや電話を使って、人力でマッチング作業をする。それもごく限られた地域だけで。例えば、トラックを2~3台所有しているだけの小さな運送会社と契約して、顧客も知り合いにお願いして探し出し、試験的に使ってもらうことから始める。ただし、その際には徹底的に両者からフィードバックしてもらい改善を重ねる。この方法を効率的なスタートアップという意味で『リーンスタートアップ』と呼びます。」

小さく始めて、その小さい状態でサービスの形を実際に作り上げて、それを世の中に提示するということを何とかやりきるのです。

そして、二つ目の課題が、サービスの「責任」に対する考え方です。

これについても、分かりやすい事例を提示されていますのでその部分を引用します。

「2019年にツイッターへの投稿から『UberEatsつけ麺事件』と呼ばれる騒動が起きました。投稿者はつけ麺を注文したお客さん。UberEatsで配達されたのですが、予定時刻よりも30分以上遅れた上に、つけ汁が溢れていたので、受け取りを拒否しました。その旨をUberEatsに伝え、返金されました。あってはいけないことではありますが、ここまではよくあるトラブルの範疇と言えるかもしれません。問題はここからです。この投稿者のマンションの共用部分にその『つけ麺』が無残に投げ捨てられていたのです。それを知った投稿者がUberEatsにクレームを入れたところ、『これはUberEatsが提供するシステムの問題ではなく、配達人の問題であるため、自身で警察に届けてください』と介入を拒否されてしまったというものです。あくまでも、UberEatsは『マッチングサービス』ですので、宅配のクオリティや宅配者のマナーや振る舞いまでを保証しているわけではないというのがポイントです。」

非常に難しい問題であることは確かです。ただ、「プラットフォーム」の本質を考えたら、UberEatsの主張には一定の理解を示す必要がありそうです。

例えば、これを「道路」というプラットフォームで考えたら、分かりやすいかもしれません。

私たち運転者や歩行者は、道路の上を法律に則って、自己責任で行き来しています。ですので、その上で起こった事故やトラブルについては、よほど道路の設計など根本的な問題がない限り、道路の管理者である国や自治体へ責任を負わせる考えには及びません。

言ってみれば、本質的にはUberEatsは「道路」に過ぎないということです。

もちろん、論理的にはこのようになりますが、実際に自分もこの投稿者の立場だったら、悔しさがこみあげてくるだろうことも容易に想像できます。

そこは、この「プラットフォーム型」ビジネスの世の中への浸透を待つ必要があるのかもしれません。その浸透とともに、例えば道路というプラットフォームでいうところの、「自動車保険」や「ドライブレコーダー」などのような付帯サービスの開発がなされるはずですから。

とにもかくにも、私たちは「業界破壊企業」への恐れと期待を併存させながら、新しい時代を生きていくことになりそうです。

 

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