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物の見方と政治の仕方

2021年2月8日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

お笑いコンビ爆笑問題の太田光さんは、突拍子もない様な「ボケ」の背景に非常に独特かつ物事を冷静にとらえた視点が光る人だとずっと思ってきました。

先日(2021年2月2日)、そんな彼のコロナ禍における世の中の見方をインタビュー形式で取り上げた記事を読売新聞ウェブ版にて見つけました。

インタビューアーの「コロナ禍が始まってから現在に至るまで、政府などのメッセージが、特に若年層の一部に伝わらず、十分な行動変容につながらなかったとの指摘がありますがどうお考えですか。」という質問への回答が実に印象的でしたので以下に引用したいと思います。

「いくつもの厄介なことが重なっていて、コロナに関わるメッセージを伝えることは本当に難しい。よほどの表現者じゃないと。ましてや『あの表現力では……』という政治指導者もいる。だけど、それを責めるのは酷だと思うんだよね。メッセージを受け取る側も『伝わっていないんじゃないか』と言いたくなるけど、受け取る側の想像力も相当要求されているから。厄介な点の一つは、『コロナを正しく恐れよう』と繰り返し言っても、立場や状況によって、抱く危機感があまりにも違い過ぎること。全員で同じ恐怖心を共有するのが、本当に難しい。地方と東京。高齢者や基礎疾患のある人と若者。医療従事者やエッセンシャルワーカーと、それ以外の人。テレワークをできない人とできる人。家計や蓄えの状況の差もあるでしょう。」

この中で特に注目したいのはこの部分、

「全員で同じ恐怖心を共有するのが、本当に難しい。地方と東京。高齢者や基礎疾患のある人と若者。医療従事者やエッセンシャルワーカーと、それ以外の人。テレワークをできない人とできる人。家計や蓄えの状況の差もある」

本当に苦しい人は誰なのか、その当事者でなければ分からないという前提を私たちが理解して、発言したり、批判したりしているのかどうなのかを確認すべきだということです。

「完全に自粛すべきだ」

というのは、テレワークが可能でコロナ禍でも収入が安定している立場にいる人にとっては、何よりも優先したい考え方かもしれませんが、飲食店やエンターテイメントに関わる人にとっては、

「生活を維持するためには経済を動かす」

というのが何よりも優先すべきことでしょう。そして、それは決して批判されるべきことではないはずです。

なぜなら、今後コロナとは正反対の異常事態が生じた時には、必ずその二つ立場は逆転するからです。

地球が消滅してしまうという事態にあっては、すべての人の立場は一致するかもしれませんが、それ以外では、この二つは必ずトレードオフの関係にあり、絶対的な「正解」はない、つまりは物の見方は常にその立場ごとに存在しているということを私たちは受け入れる必要があるということです。

しかし、政治はそうはいきません。

政治の仕事は、地球が消滅してしまうという事態ではなくても、今起こっている事態に対して、最も多くの人々を幸せにする相対的な「正解」を提示して、それが相対的な正解であると国民を説得することだと思うのです。

それが政治の仕方だと思います。

このインタビュー記事によって、太田さんが「ボケ」の背景に非常に独特かつ物事を冷静にとらえた視点が「ひかる」人であるという私の印象がより強くなりました。

 

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