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真の日本ブランドとは

2016年8月28日 CATEGORY - 代表ブログ

ファクトリエ

皆さん、こんにちは。

先日、大変素晴らしい若手経営者のお話を聞くことができました。

それは、日本の技術を持った縫製工場と手を組んで「真の日本ブランド」を創り出すことを目的に事業を「ファクトリエ」というブランドで展開されているライフスタイルアクセント株式会社の山田敏夫社長の講演です。

彼は、熊本の老舗服飾店の息子として生まれ、従来通りのアパレルの常識の中で育ちました。ところが、大学時代にフランス留学し、GUCCI Paris店に勤務していた時に、彼の人生の目標につながる衝撃的な経験をします。

それは、フランス人の同僚の「日本にはブランドがない」という発言をぶつけられたことでした。

彼は、「いやいや、ユニクロなんかも世界的に頑張ってるブランドじゃないか」と反論しました。すると、「そのブランドのうち何パーセントがメイドインジャパンなんだ?真のブランドは、自分の工房の技術で勝負するものだろう」というようなことを言われたといいます。

よく考えてみれば、メイドインジャパン、すなわち日本の工房(工場)で作られる製品はどんどん少なくなっています。具体的には、1990年代に50%程度あったものが、速報値では2.7%にまで落ち込んでいるといい、本当に危険な状態です。

それらに価値がないから消えていくということであれば仕方のないことかもしれませんが、彼らには世界に誇る技術があるのです。

ですが、彼らは、安い外国製品との競争で、、「安く」作ることだけを求められるため、その技術を出し惜しみしながらフル回転でも赤字を出すという、何とも残念な状態になっているということに彼は気が付きました。

彼は、この業界のことを調べました。その結果、日本におけるアパレルの原価率はたった20%で、そのうち材料費が50%。ですから、生産者は10%という範囲の中でしか、その労務を評価されないという仕組みだということが分かったのです。

それは、フル回転でも赤字を出すわけです。

これを変えるためには、どうしたらいいか。それは、何層にもわたる流通を省いて、直接工房(工場)が自らの名前(ブランド)で責任をもって消費者に届ける仕組みを作ることだということに行きあたります。

そうすれば、自分の技術を出し惜しみせず、最高のものを作って、自分の利益を十分に確保してもなお、市場では十分に受け入れられる価格に抑えることができます。

このことを実現するために最も重要で、最も難しいこと、それが「伝える」という仕組みを作ることでした。

そもそも、日本の縫製工場でホームページを持っているところなんて一つもありません。ですから、彼自身が、彼らに行きつくことから困難が生じるわけで、そんなところからスタートして、最終的には、われわれ消費者に対して、「日本の工場がその技術を出し惜しみせず最高のものを作ったうえで十分納得できる価格に抑えられた商品」しか扱っていない通販サービスであるということを認知させるということが、このビジネスの肝なのです。

そして、そのことが、そのブランドの利益となるにとどまらず、何もしなければ消滅してしまうであろう日本の価値ある技術を守ることにつながる意義の深さも感じ、心から「いい仕事してますね~」と拍手を送りたい気持ちになりました。

「Factorier by 〇〇(工場の名前)」が、信頼の証である「真のブランド」にまで高められるまでのお話をご本人から聞くことができて本当に刺激的経験でした。

 

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