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表現の技術

2020年2月12日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

ずっと積読状態にあったかなり古い本ですが、非常に勉強になりましたのでご紹介します。

それは、電通のクリエーティブディレクターの髙崎卓馬氏が書かれた「表現の技術」という本です。

CMという「見たくなくても見てしまう」映像には必ず見るものを楽しませることが求められる。それがマナーだ、と長い間CMづくりをしてきた著者は言います。

本書の目的は、このような土俵自体がマイナスの状態でスタートする「表現」の成功を常に求められてきた人による「表現のイロハ」を提供です。

冒頭には、著者なりの「表現の使命」に関する次のような定義が書かれていました。

「その表現と出会う前と後でその表現と出会った人の何かを1ミリでも変えること」

著者は、この出会った人の「変化」を「驚き」という言葉で言い換えています。

となると、人間の生産活動によって存在するにもかかわらず、それに出会った人に「驚き」を与えられないようなものは「表現」としての使命を果たしていないということになります。

そのことから、著者は私たちが物語の基本だと教わった「起承転結」(という順番のルール)はむしろ表現の敵だと言います。

なぜなら、それは「予定調和」を導き出してしまい、「驚き」を生じさせないからです。

そうなると、「起承転結」とは物語を面白い「表現」にするものではなく、単に「事実の整理」のための方法ということになります。

物語を面白くすることと事実を整理することは全く別物です。

ですから、物語を面白くするためには、「驚き」を最大限に増幅させられる事実の順番をその事実の強弱を見ながら自ら決める必要があるのです。

もちろん、自分で決めるわけですから、十分に魅力的で強い「結」の場合には、結果的に「起承転結」という順番に自ら決めることがあっても良いというわけですが。

今更ながら、非常に勉強になる本に出合ったなと思います。

 

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