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AIが書いた新聞記事

2017年4月10日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

私も最近まで全く知りませんでしたが、実は2016年11月1日に、新聞業界でものすごくセンセーショナルな試みが行われていたようです。しかも、読売や朝日のような大新聞ではなく、地方の小さな経済新聞社において。

それは、「中部経済新聞」という愛知県を中心とする東海四県の経済情報を中心に掲載する新聞社の創立70周年記念イベントで行われた、「AI(人工知能)が記者として書いた記事を新聞の朝刊に載せる」という試みです。

実際に書かれた記事は以下になります。

「中部経済新聞は昭和二十一年十一月一日、焦土とした市街地にはなお瓦嘩の山がうず高く残る名古屋市内で創刊いたしました価値観の大転換が迫られる中で、中部の産業経済が大きく立ち上がるためのオピニオンリダーとして経済新聞を発行する大きな目標を掲げての創刊だった。当時は、どこへ行くにももっぱら2本の足が頼り。だいいち、名刺を出しても相手はけげんな顔つきで対応し、こちらは取材の前に、本紙創刊の趣旨と中部経済圏とのつながりを一席ぶつことがお決まりのコースであった。このような努カが連日重ねられ、創刊第1号をみんなが手に取って眺めた時の感激は、”筆舌に尽くしがたい”言葉どおりであった。

戦後の食べるだけが精いっぱいの時代から、特需景気から所得倍増による高度成長期、空前の災害をもたらした伊勢湾台風、環境破壊、公害による反省を経て世界を揺るがせた石油ショック、1ドル=70円台まで進んだ超円高で、業績を大きく揺さぶられてきた中部の自動車関連産業。幾度となく厳しい試練が訪れ、その都度、中部企業は底力を発揮し乗り越えてきた。多くの企業が難局に立ち向かい、モノづくりを持続させるための戦いに挑んでいる。

今日まで七十年、歩み続けて参りました道程は、決して平たんではありませんでしたが、そのつど、正確、公正、迅速な報道への使命感と、みなさまの温かい励ましで今日を迎えることができました。中部経済新聞は今後も、つねに”地元のお役に”をモットーとして地域経済の現状が把握できる経済情報を集めて、未来像を指し示す努カを続けていく。」

いやはや、これはかなりびっくりです。想像をはるかに超えるクオリティだと思います。(誤字や漢字とするところをひらがなにしたままであったり、である調とですます調の混在などはご愛嬌かとは思いますが。笑)

特に、新聞社とその地域の歴史という「人間の営みの流れ」をなぞりながら、その事実に対しての書き手としての「感想」に近いものまで表現している点は見事としか言いようがありません。

記事を書くにしても、例えば「スポーツの結果」や「天気予報」などの定型文でしかも短文ですむものであれば、どこで誰が何をどのようにしたという要素を入れ込むという簡単な論理プログラムだけで何とかなるでしょう。

しかし、人間が書く文章の面白さは、そのような論理を全く外さない文章と全く脈略のないでたらめな文章との間にある「意味ある論理の飛躍」にこそ存在すると思うのです。

そして、そのような面白さを有する文章のことを「気のきいた文章」というのではないでしょうか。

このAIは、確実にこの「気のきいた文章」まではやってのけたと思います。

今後は、人間を「感動させる文章」に挑戦していくはずです。

そのことに、人間として恐ろしさを感じつつ、同時に期待もしてしまう自分がいます。

 

 

 

 

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