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SDGsの正体

2021年4月4日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

以前に「SDGsの活用方法」という記事を書きました。

その記事の最後を、「SDGsを単なる掛け声に留めず、自らのビジョン達成の実質的手段として活用するような団体が増えれば、おのずとSDGsの目標も達成に近づく」という言葉で締めたのですが、この「SDGs」というムーブメントについてもう少し慎重に理解した上で取り組み必要があることに気づかせてくれる本を読みました。

それが、一般社団法人SDGsビジネス総合研究所の理事長である村井哲之氏の「SDGsの正体」です。

改めてこのSDGsに関する外務省の説明を引用します。

「SDGs(持続可能な開発目標)とは2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標です。持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の誰一人として取り残さないことを誓っています。SDGsは発展途上国のみならず,先進国自身が取り組む普遍的なものであり,日本としても積極的に取り組んでいます」

現在、世界中の誰もが地球環境の限界を意識せざるを得ない状況にあり、このSDGsというムーブメントに対して批判することは難しい、逆に言えばその趣旨に対して賛成をする以外に選択肢はないと思われています。(グレタさんとトランプ氏のやり取りを見てもそれは明白です。)

ですが、本書では「SDGsは欧米白人社会によるマッチポンプ(自作自演)による我田引水の運動である」ことを理解した上で取り組む必要があると言っています。

一見すると、この世界中の誰もが重要なことだと認識して前向きに取り組もうとしている対象に対して水を差す暴論のように聞こえますが、読み進めているとこの主張にも一理あるように思えてきます。

本書では、前提として地球環境にはもはや一刻の猶予もなくSDGsが定める目標に近づく必要があることは認めつつも、そのムーブメントを作り出した人々(欧米白人社会)の動機が私たちが想像しているのとは違うところにあると言います。

それは、産業革命以来「現存資源の獲得競争」を優位に進めてきた彼らが、これからの危機的な地球環境の中でも「現存資源の獲得競争」における優位な立場を持続可能にするために作られたということです。

というのも、中国やインドを筆頭にこれから成長余力がある国々は人口が多いため、これらの国々をこの競争に参入させることを何とかして阻止するためには、誰から見ても正当に見える理由が必要であり、それがSDGsというわけです。

そして、SDGsの目標に近づくために必要な新たな技術に関わる消費需要と利益については、それらの国々よりも先進国、その中心である欧米白人社会の方が優位性を獲得しやすいため、かつての土俵で真正面から戦って消耗することを避け、自分たちに有利な新しい競争を作り出すことができると考えています。

しかも、繰り返しますが、SDGsの目標はこれ以上ない「大義名分」となり、誰からも反対されることはありません。

ここで、著者は多くの日本企業の経営者に警鐘を鳴らしています。

それは、現時点で彼らの多くは、SDGsが純粋に「地球(人類)を守る」ことを目的とした崇高なものであり、欧米企業のようにSDGsをから「利益」を上げるという姿勢ではなく、SDGsのために「コスト」をかけるという姿勢にとどまってしまっているのではないかというものです。

産業革命以降、グローバル社会においてあらゆる資本主義のルールを作ってきたのが欧米白人社会であり、その土俵づくりのうまさでは日本はとてもかなわないとは思います。

このSDGsは、著者の主張するように、彼らによるマッチポンプ(自作自演)的なムーブメントであるかもしれませんが、少なくとも全く何もしないよりは「地球(人類)を守る」ことにつながることは間違いありません。

その際には、この土俵の背景事情を知らずに、ただその上で踊らされる(コストをかける)のではなく、その意味を理解して、自分の意志で踊る(利益を上げる)ことができるようにすべきではないかという著者の考えに強く共感しました。

 

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