Wood Job は Good Job
2014年12月10日 CATEGORY - 代表ブログ
皆さん、こんにちは。
今回は映画のご紹介です。「Wood Job」という「林業」をテーマにした映画です。
最近では、「検察官」、「労働基準監督官」など映画やドラマのテーマになりにくいだろうと思われていた特殊な職種が取り上げられるようになってきましたが、遂に「林業」かと思ってみたのですが、これがなかなか良かったです。
あらすじは以下の通りです。
「高校卒業後の進路を決めていなかった主人公平野勇気は、卒業式終了後に担任から就職先を決めておいたと言われ、どんな仕事をさせられるのかも分からないまま、三重県の神去村へとやってくる。見渡す限り山が続きケータイの電波も届かない田舎。勇気が就職することになったのは、中村林業株式会社。山仕事に関しては天才的な才能を持つ飯田ヨキの家に居候しながら、ベテラン社員に付いて現場に出た勇気を待っていたのは、広大な山の手入れ。過酷な山仕事に何度も逃げ出そうと試みるもあえなく失敗する。そんな辛い経験に耐えていく勇気であったが、それらを凌駕する雄大な自然に勇気は次第に魅了されていき、最初は嫌悪感丸出しの村の人々からも少しずつ受け入れられていく。」
日本の林業が危機に瀕していることはいろいろなメディアを通じて都会に住む皆さんもご存知かと思います。外国の安価な木材が大量に入ってくるために、輸送費を考えたとしても日本国内で林業を成立させることが難しくなっているからです。そのため、林業に携わる人材は年々減る一方で、高齢化の一途をたどっています。
実際に、ランゲッジ・ヴィレッジのある富士山周辺でも山林はたくさんありますが、その多くが間伐などの手入れが行われず、ほったらかしの状態にあります。
しかし、そんな中でもキラリと光る林業者はいるものです。実際、私の知り合いの若手社長も品質の良い木材の買い付けに全国を飛び回っています。彼の動きを見ていると林業が構造不況に陥っているとはとても信じられないくらいです。
この映画の中の中村林業株式会社という会社もそのようにキラリと光る会社です。その輝きの源はやはり会社の理念と価値観がしっかりしているということでした。
中村林業株式会社が育てた木材が、木材オークションにおいて一本80万円という高値が付いたことに驚いた平野勇気が社長や飯田ヨキに対して、「こんなに儲かっちゃうんだったら、どんどん切っちゃえばいいじゃないですか!」と調子に乗ると、彼らは次のように言いました。
「お前は馬鹿か!自分たち世代だけがいい思いしてどうするんだ。子や孫、そしてその次の世代にまでつなぐためには、大切に山を育てなければならないんだ。丁寧に間伐し、枝落としもしっかりやっていかなければならないんだ。」
彼らは、50年、100年のサイクルでも資源管理をしっかりと考え、自制しながらビジネスを行っています。特に、105年前、ひい祖父さんの時代に植えた木を切り倒す時の彼らの真摯な態度が印象的でした。そのシーンを見ると、現代経済社会の在り方に疑問を持たざるを得ません。
現在のエネルギー問題に至っては、何億年もかけて自然が作り出した化石燃料を、たったの100年ちょっとで使い果たそうとしているわけですから。
そういう意味で、Wood Job(林業)は現代社会における稀有な Good Jobだと思います。
サステイナブル・ディベロップメント(持続可能な発展)は大人としての人間の最低限のマナーなのではないかと思い知らされた映画でした。